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EU、プラスチック廃棄物規制で合意。使い捨てストローなど10品目の使用を2021年までに禁止へ。ペットボトル回収率は29年までに90%目指す(RIEF)

2018-12-21 11:33:54

   EUはプラスチック廃棄物縮減のための対策で、欧州議会と加盟国の間で基本合意した。ストローなどの使い捨てプラスチック食器など10品目の使用を禁止する新規則策定で基本合意した。使用禁止は2021年に実施する見通し。このうち、ペットボトルは、29年までに90%回収を目指す。

 

 プラスチックごみの規制について、欧州委員会が5月に公表した規制案では、使い捨てのストロー、フォークやスプーンなどの食器類、綿棒などのプラスチック製品の使用禁止と、使用済みのペットボトルの回収率を、2025年までに90%に引き上げることを、加盟各国に求める法的措置を提案した。

EU11キャプチャ

 

 一方、欧州議会では10月、使い捨てプラスチック製品の使用禁止を2021年からに前倒しし、代替品のないプラスチック製品については、2025年までに現状よりも少なくとも25%減少させることを義務付ける法案を可決していた。

 

 今回、議会と委員会、加盟各国との調整の結果、使用禁止の実施期限については、欧州議会の主張を受け入れて、21年とする方向で決着した。最終的には議会本会議での承認と閣僚理事会での決定の手続きを経る。

 

 使用禁止対象となるのは、欧州の海岸に漂着する殊の多いタバコのフィルター、ペットボトル、プラスチック容器、ストローなど10品目とする方向。ストローのように、紙製や生分解性プラスチックなどの代替品がすでにあるもので、綿棒、プラスチック容器、飲み物を混ぜるマドラー、風船を持つ取っ手などが含まれる。

 

EU12キャプチャ

 

 大型の食品運搬用の容器や、プラスチックのカップやフタなどについては、加盟各国が、再使用や使用自体を減らす方向で、使用する店舗や製造業者に働きかける措置を講じる。加盟国は消費者に対して、プラスチック製品の使用と廃棄・処理、食器等の再使用、リサイクル等についての啓蒙活動を展開する。

 

 また、プラスチック容器等の製造業者に対しては、廃棄物化したものの回収コストや処理コストを負担する仕組みを導入する。使用禁止対象外の生理用品や、ウェットティッシュ、風船等については、廃棄方法を明記したラベルの添付を義務付ける方向。

 

 すべてのペットボトルはの回収目標は90%とするが、加盟各国に対しては、2030年までに最低でも30%のリサイクル率を達成することを義務付ける。海岸での汚染が最も多いタバコのフィルターについては、フィルター製造業者に回収コストを負担させる。

 

 環境NGOの「Friends of the Earth,Europe」のMeadhbhBolger氏は「今回の廃プラスチック対策での合意は基本的に歓迎する。プラスチックゴミ削減に向けた一歩である。ただ、実施時期が遠すぎるのと、使い捨てプラスチックの削減目標を欠いているなどの課題は残っている」と指摘している。

 

 EUは「海洋汚染問題に立ち向かう世界初の総合的なプラスチック戦略をまとめた」と強調している。欧州委員会の環境・海洋担当のカルメヌ・ベッラ(Karmenu Vella)欧州委員は「使い捨てプラスチックを、われわれの経済から、われわれの海から、究極的にはわれわれの体内から減らす方向へ大きな一歩を踏み出した」と歓迎の声明を出した。

https://www.dw.com/en/eu-reaches-agreement-on-single-use-plastic-ban/a-46797494

https://www.euronews.com/2018/12/19/eu-reaches-agreement-on-single-use-plastic-ban