HOME4.市場・運用 |清水建設等、プラスチック代替のバイオプラスチック原料の「リグノフェノール」開発へ、島根・隠岐に研究施設建設。非食料資源の木質資源から抽出可能(RIEF) |

清水建設等、プラスチック代替のバイオプラスチック原料の「リグノフェノール」開発へ、島根・隠岐に研究施設建設。非食料資源の木質資源から抽出可能(RIEF)

2018-12-21 13:46:30

rigunofeno-ruキャプチャ

 

 清水建設(東京)は、神鋼環境ソリューション(神戸)などと共同で、島根県の隠岐の島町で、バイオプラスチックの原料となるリグノフェノール抽出・製造の本格的な研究体制を整備する。リグノフェノールは、非食料資源の間伐材や樹皮などから抽出できる化学物質で、プラスチック代替で食料利用にも抵触しないバイオプラスチック製造原料になる。

 

 (写真は抽出したリグノフェノール。単なる粉のようですが)

 

「隠岐に建設する研究施設は、清水建設と神鋼環境ソリューションのほか、藤井基礎設計事務所(島根県松江市)、神鋼商事(大阪市)の4社が共同で実施する。施設の完成は2019年7月の予定。

 

 リグノフェノールは、三重大学の舩岡名誉教授が1990年代に開発した新規化学物質。木材はセルロース、ヘミセルロース、リグニンの三要素で構成される。常温下で硫酸を使って安定化させ、セルロース、ヘミセルロースから分離したのがリグノフェノール。同物質は溶媒によく溶け、プラスチックとの相溶性が良く、プラスチックの難燃性、強度を向上させるほか軽量化を実現できる。将来的には石油由来のプラスチック原料の代替素材となるとの期待がある。

 

 現在、市場で流通するか、または研究が進められているバイオ素材には、食料資源を原料とするものが多い。これに対してリグノフェノールは、非可食の木質資源、特に間伐材や端材、樹皮、松枯れ材などの低品位材からも抽出できることが特徴とされる。

 

 清水建設は2015年に、リグノフェノール製造の基礎技術を有する藤井基礎設計事務所から共同研究の申し入れを受けた。その後、事業化について検討を加えてきた結果、十分な市場性があると判断、このほど関連する企業と一緒に、実用化に向けた研究施設を立ち上げることにした。

 

 建設する施設では、リグノフェノール製造の小型プラントを備え、年間1㌧程度を製造する。それを元に、価格競争力のあるリグノフェノールの商用化製造技術の確立を目指す。順調にいけば、2021年にも商用プラントの建設に着手する計画という。

 

 実用化されると、熱可塑性プラスチック(自動車、家電、OA機器など使用)、熱硬化性プラスチック(鉄道車両、自動車、電子機器などに用いられる)、フェノール系接着剤、プラスチック発泡材などへの機能性添加剤等の広範囲な使用が見込まれる。脱石油、脱プラスチックを可能にする近未来技術の一つといえる。

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2018/2018037.html