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三菱ケミカルなど国内化学3社、海洋プラ対策の国際イニシアティブに共同参加、1500億円規模の基金設立。廃プラ対策や各国の法規制強化を支援(各紙)

2019-01-14 15:12:39

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    各紙の報道によると、三菱ケミカルホールディングスと住友化学、三井化学の化学3社は、欧米化学大手主導で月内にも設立される海洋プラスチック汚染対策の国際的アライアンス「The End of Plastic Waste」に参画する。総額1500億円規模の基金を立ち上げ、廃プラの回収・再利用に関する研究開発や社会啓発、各国の法整備などを支援する活動を展開するという。

 

 (写真は、三井化学が昨年12月に小笠原諸島で実施した廃プラ回収ボランティア活動の模様)

 

 日刊工業新聞が報じた。世界経済フォーラム(WBCDS)と英エレンマッカーサー財団が主導する形で、プラスチック廃棄物汚染に関連する産業・企業の取り組みを促す「Global Plastic Action Partnership(GPAP)」が呼び掛けられている。今回の化学業界の対応は、GPAPを受けて、プラスチック製品を開発・出荷する同業界の社会的責任のグローバルイニシアティブとして取り組む。

 

 同イニシアティブは、独BASF、米ダウ・デュポン、同エクソンモービルなどの欧米化学大手が主導している。各社がそれぞれ売り上げ規模等に応じて40億―50億円の費用を負担して基金を設立、サプライチェーン全体での廃プラの海洋流出削減を目指す。

 

  アジア地域からはタイのサイアム・セメント・グループ(SCG)やサウジアラビアのサウジ基礎産業公社(SABIC)なども参加する模様という。化学メーカーだけでなく、プラスチック加工業者や回収・リサイクル業者なども対象だ。

 

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 経済成長の進むアジア諸国が廃プラの主要な原因国になっている一方で、リサイクルの面での普及促進にも力を入れることを目指すとしている。日本の3社は廃プラのリサイクル技術・システムで豊富な経験と知見があることから、新設されるアライアンスへの国際貢献を協力して推進する考えという。

 

 軸となる基金などの詳細設計はまだ終わっていないが、廃プラ処理の技術・システム面の開発・普及のほか、各国での社会啓発や法整備などの支援も行うとしている。また参加各社が実施している廃プラ処理・削減の技術開発や他のアライアンス参加などへ参加して実践している個別活動も、基金への参加資金枠に加えるという。

 

 ただ、廃プラの最大の発生源である中国の化学メーカーなどは、設立当初のメンバーに加わらない見通しという。中国の化学メーカーにとって、製造・販売分野での廃プラ処理・削減に加えて、国内の法整備等への対応まで約束するのは、現状では難しいという判断があるようだ。立ち上がるイニシアティブは対中国対応が大きなテーマとなりそうだ。

 

 アライアンスに参加する日本各社はこれまでも、廃プラ対応での社会的取組を実施している。たとえば、三井化学は昨年末、小笠原諸島・父島に漂着する海洋ごみや廃プラのクリーンアップ活動を展開した。ボランティアの社員らが、漁網やブイなどの漁具、国内外から流れ着いたペットボトルなどや、タイヤや便器などの大型ごみを含め、フレキシブルコンテナバッグで6袋分(=約6m3)を回収した。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00502399?isReadConfirmed=true

https://www.mitsuichem.com/jp/release/2019/2019_0111_01.htm