国土交通省、船舶からの航行中のプラごみ放出の実態、初調査へ。将来の規制措置への布石か(RIEF)
2019-01-21 22:19:15
国土交通省は、プラスチックごみによる海洋汚染対策の一環として、2019年度から、旅客船や貨物船などの船舶から海洋に排出される生活排水中のプラごみ対策についての初の実態調査に乗り出す。船舶が航海中に放出する生活排水は、国際条約の対象外となっているが、洗顔料や洗剤等が含まれ、累積の環境負荷の程度によっては、規制措置が必要な可能性もある。
船から海への廃棄物投棄は国際的なマルポール(MARPOL)条約で禁止されている。同条約では、船内で発生したトイレの排水や、船内病院等からの有害物質を含む可能性のある排水については汚染水処理を義務付けているとともに、固体化下汚物は港に入港した時に回収する決まりになっている。
ただし、同条約は、船員や乗客等が使用する生活排水は対象外としている。洗面所や台所のシンクからの排水、シャワーの排水、洗濯の排水等である。このうち、乗組員らが洗面等で使う洗顔料や洗剤には、微細なプラスチック粒子を含んだ製品もある。これらのうちの一定量は海に流出しているとみられる。
また船内処理が義務付けられている廃棄物は、決められた処理方法で処理した排水の場合は、一番岸に近い岸から3海里離れていれば、海洋に放出してもいいことになっている。処理方法が定まっていない排水についても、沿岸から12海里離れていれば、海洋放出を認めるなど、実態は海洋放棄を前提にしているともいえる。
ましてや、これらの船内から排出される生活排水の実態については、これまで十分なデータさえないのが現状だ。そこで国土交通省は、実態調査として、2019年度の実態調査では、クルーズ船等の生活排水をサンプルとして回収し、プラごみの種類や含有量を分析する。
国際海事機関(IMO)は昨年10月に開いた環境海洋護委員会で、プラスチックゴミによる火曜汚染対策を強化するためのアクションプラン(行動計画)で合資している。国交省は今回取り組む実態調査の結果を、IMO等とも共有し、国際的な議論にも貢献する考えという。