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ハンガリー、紙幣を燃料に再利用(National Geographic)

2012-03-23 19:25:18

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 ハンガリー北東部のミシュコルツにある自閉症支援団体に届けられた“紙幣”の山。使い古された通貨フォリントを加工した暖房用の固形燃料である。熱量は低品位の褐炭とほぼ同等だという。お金としての価値はもうないが、東ヨーロッパが異常な寒波に見舞われた今冬、暖房費の節約に重要な役割を果たした。

 余りの寒さに、身を寄せる場所もないホームレスなどが低体温症で死亡するケースが相次いだ。ハンガリーでは暖房費が高騰し、複数の学校が休校する事態になっている。首都ブダペストの2月上旬の平均最低気温は摂氏マイナス12度前後で、平年のマイナス3度を大幅に下回った。

 このところ春の陽気がやっと巡ってきたハンガリーや近隣諸国だが、経済危機や緊縮政策に苦しむ人々に寒波はさらなる負担として重くのしかかった。

配布された古い“紙幣”は、もちろん流通しているお金ではなく、同国の中央銀行が傷みがひどくなった古い紙幣を回収し、燃料として再利用する無償プログラムを実施しているのだ。紙幣は細かく裁断され、ブロック状に押し固められている。ここハンガリー北東部の都市ミシュコルツにある自閉症支援団体では、年間暖房費用の3分の1を賄うことができたという。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012032201&expand#title