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ルイ・ヴィトン等の高級小売り大手の仏LVMH社、ワニの人権ならぬ「ワニ権」に配慮した(?)高級ワニ革ブランド・バッグ用の「責任あるワニ革基準」を設ける(RIEF)

2019-02-19 23:15:10

crocodile1ャプチャ

 

 金融関係では「責任投資原則(PRI)」に続いて「責任銀行原則(PRB)」が立ち上がったが、世界の高級品小売業界でも、新たに「責任あるワニ革基準」が誕生した。高級品小売りの世界最大手、フランスのモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)が、高級ハンドバックなどの材料となるワニ革の持続可能性のために基準化した、としている。

 

 ルイヴィトンをはじめとするブランド商品をグローバルに展開するLVMHに対しては、製品に使うワニやダチョウ等の飼育環境の適切性をめぐって、動物愛護団体などから批判が続いていた。「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は昨年4月、LVMHを名指しで批判していた。

 

 今回、LVMHは、米基準認証団体のNSF Internationalを含む技術専門家委員会を設けて、「クロコダイル・レザー資源」についての責任ある取り扱い基準を定めた。 基準は4項目からなる。

 

ヴィトンのワニ革バッグ
ヴィトンのワニ革バッグ

 

 ①種の保護と(生息地の)地域コミュニティの尊重②ライフサイクルを通じた動物福祉の確保③農場での男女従業員の労働環境④環境保全ーー。

 

 LVMHグループとして、2011年にワニ革なめし専業のHeng Long(シンガポール)を傘下に収めて以来、 皮革事業の環境影響や労働条件の改善を推進してきたとしている。そうした活動については、マルチステークホルダーの「Leather Working Group (LWG)」の認証を得ていると指摘。

 

 さらに今回、獣医師や科学者、ワニや他の動物を飼育する農場等の協力を得た研究プロジェクトに加えて、国際自然保護連合(IUN)の「クロコダイルル専門家グループ」によるテキスト等を踏まえて、新基準を策定したとしている。

 

はぎとられたワニの革
はぎとられたワニの革

 

 LVMHのHeng Longにワニ革を供給しているシンガポールの3つのワニ飼育業者は、すでにこの新基準への適合認証を得ているという。また2020年末までに、オーストラリア、ザンビア、ジンバブエ、ケニア、フィリピン、米国などの20の飼育業者も「責任あるワニ皮革基準」の認証を得る予定としている。

 

 LVMHの取締役会の戦略担当のJean Baptiste Voisin氏は「われわれは、これまでの業界基準よりも厳格な新基準を立ち上げることで、新たなフレームワークを設けた」と強調している。

 

 ただ、動物愛護団体は、ワニをはじめ爬虫類の皮革は、「Exotic Skins」としてバッグ等のブランド品に大量に利用され、その製品化のプロセスに問題が多いことを指摘している。

 

 各ブランド企業は、世界中に点在する飼育農場と契約して調達するが、その飼育環境や皮革化作業の劣悪さのほか、犬や猫などに比べて、爬虫類の保護が後手に回っている点も指摘されている。またワニ革の場合、3匹の革で一つのバッグを作るなど、動物の命をモノとして扱い、大量の廃棄物を出す点も問題視されている。

https://www.lvmh.com/news-documents/press-releases/lvmh-launches-first-standard-responsible-crocodilian-leather-sourcing-three-pilot-farms/