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EUの欧州議会、使い捨てプラスチック食器等の使用禁止の指令案を採択。酸化型生分解性プラスチックも使用禁止に。マイクロプラスチック化のリスク(RIEF)

2019-03-30 01:45:27

EU11キャプチャ

 

 EUの欧州議会は、使い捨てプラスチック食器等を禁止する新指令案を正式決定した。欧州理事会も承認の方向で同案成立は確実だ。2021年までに、使い捨てストロー、マドラー、食器類(フォーク、ナイフ、スプーン、皿類)や綿棒、風船の柄、「酸化型生分解性プラスチック」の全面的な使用禁止に踏み切る。このうち「酸化型生分解プラ」は日本でも使われており、今後、日本での対応が求められる。

 

 酸化型生分解性プラスチック(Oxo-Biodegradable Plastics)は、太陽の光や熱による酸化分解促進反応を利用し、自然環境での酸化崩壊と、微生物分解を加えて二段階で分解できるプラスチックの総称。通常のプラスチック素材の低密度ポリエチレン(LDPE)に化学物質を追加して生産する。

 

 廃棄されても自然環境で分解できるとして、これまで利用されてきた。わが国でも、農業用フィルム、ごみ袋、レジ袋、食品包装等に使用されているという。マレーシアの熱帯気候で約3カ月での分解が確認された、との報告もある。

 

バラバラになってマイクロプラスチック化のリスク
バラバラになってマイクロプラスチック化のリスク

 

 ただ、酸化分解促進剤の注入による自然環境での酸化崩壊と、微生物分解という二段階分解のうち、第一段階の酸化崩壊の時点で微粒子状にバラバラに分解された後、次の微生物分解に至るプロセスで十分に分解できず、マイクロプラスチック化するリスクがあるという。

 

 こうしたことから、今回、使い捨てストローとともに規制対象に加えられた。酸化型生分解性プラスチックが使用禁止となると、生分解性プラスチックは、加水分解型生分解性プラスチックに限定されることになる。

 

 英国の「エレン・マッカーサー財団」が主導する「ニュー・プラスチック・エコノミー」は2017年11月、酸化型生分解性プラスチックの廃止を求める共同宣言「Oxo statement」を発表。欧米大手企業やNGOを中心に、150以上の企業・機関が共同宣言に署名してきた。

 

 すでに、フランスは同プラスチックの使用を2015年に禁じているほか、英国でもテスコや生協等の小売り店において、酸化型生分解性プラスチックの使用停止を実践している。しかし、まだ欧州でも多くの国々が、さらに日本を含めた他の国々も、酸化型生分解性プラスチックの使用が続いているという。

 

 今回の使用禁止規制案は、昨年10月に議会で採決されたものとほとんど同じ規制範囲。これらの廃棄プラスチックで、海洋や海岸のプラスチックごみの70%を占めるとされる。http://rief-jp.org/ct12/84016

 

 代替品がないとの理由で禁止対象とならなかった食品容器や飲料カップ、漁具・漁網、たばこフィルター等については、2025年までに現状よりも少なくとも25%、使用を減少させることを義務付ける。このうち漁具・漁網とたばこフィルターについては、製造者責任を拡大し、回収・清掃コストの負担義務を製造者が負うこととする。

 

 ペットボトルは2029年までに分別回収率を90%に高める。ペットボトル製造時に、回収した再生ペットボトル素材を2025年には25%、2030年からは30%分、充当する目標も定めた。

http://www.europarl.europa.eu/portal/en