HOME8.温暖化・気候変動 |グレタさん、英国で気候変動対策を求める市民の直接行動「Extinction Rebellion」の会合で「連帯のエール」を送る。市民による政府への「抗議の直接行動」広がり続ける(RIEF) |

グレタさん、英国で気候変動対策を求める市民の直接行動「Extinction Rebellion」の会合で「連帯のエール」を送る。市民による政府への「抗議の直接行動」広がり続ける(RIEF)

2019-04-22 22:16:03

 

 「温暖化対策のための登校拒否」活動を展開しているスウェーデンの16歳のグレタ・ツゥーンベリさんは21 日、ロンドン市内で気候変動対策の遅れに抗議する市民行動「Extinction Rebellion(XR:絶滅への反逆)」の参加者たちの前でマイクを握った。「私たち人間は、存在自体の危機に直面している」と指摘、温暖化問題の深刻さを強調した。

 

 グレタさんは、英議会の複数の政治家と面談するために陸路、スウェーデンから訪英した。日曜日のロンドンで、Extinction Rebellionの参加者らが立てこもるマーブルアーチの一角に設えられた壇上に登場した。http://rief-jp.org/ct4/89108?ctid=70

 

 その言葉は辛辣で、妥協を許さない厳しさを率直に表した。「私はスウェーデンから来ました。皆さんと、そして世界中の人々と、ほとんど同じ問題を抱えています。それは政治家たちが、美しい言葉や約束をするばかりで、環境の危機に歯止めをかけようと全くしないという問題です」

 

Greta111キャプチャ

 

 「私たちは、人間としての存在の危機に直面しています。それは、これまで危機とみなされてこなかった気候危機であり、環境の危機が原因です。政治家たちは、何十年もこの危機を無視してきたのです」

 

 「政治家や、権力を手にする人々は、本当に長い間、何もしないでやり過ごしてきました。私たちは、政治家たちがそうしたやり方をこれ以上、続けられないようにしなければなりません」

 

 グレタさんの「大人への不信」の言葉は、温暖化対策を先送りし、そのツケを弱者や持たざる者にしわ寄せして恥じない現在の「民主主義の不在」に抗議するExtinction Rebellionの人々から、瞬く間に受け入れられた。

 

ロンドンのマーブルアーチで抗議の住民らが設立した臨時ステージに登場したグレタさん
ロンドンのマーブルアーチで抗議の住民らが設立した臨時ステージに登場したグレタさん

 

 普通の子ども、名もない人々たちが、声をあげ、座り込み、警察に逮捕されることも厭わず、政策の転換を求める動きが、各地で広がっている。2000年代の初めに、アメリカの大学から始まったとされる石炭関連事業への投資引き揚げを求めるダイベストメント(Divestment)運動も、その一つといえる。

 

 政治家に任せておけない、政治家や権力者は、われわれを無視した政策しかしない、このままでは我々の未来はない、私たちの将来はないーー。こうした思いで、こぶしを突き上げた人々や、登校拒否をする子どもたち。フランスでも昨年後半から「黄色いジャケット」を着た庶民たちが、不公平な国民負担の政治はまっぴらだ、と毎週末、怒りのデモを展開している。

 

 これらの行動に共通するのは、グレタさんが指摘するように、(国民に選ばれた)政治家たちが、口先ばかりで、国民のため、社会の未来のために、必要な政策の実現に向けて汗をかかない姿への失望、絶望だろう。微力だが、無力だが、声を上げ、こぶしを突き上げ、一人一人が「存在の危機」に立ち向かおうとしているように思える。

 

greta112キャプチャ

 

 ロンドンでは先週以来、963人が逮捕され、そのうち42人が告発された。だが抗議の輪にいる人々は、逮捕されることを厭わない。EXのスポークスマンのRonan McNern氏は「みんな喜んで逮捕されているのだ。座り込み先を追い立てられても、パブで、バスの中で、EXを語り合う機会はいくらでもある」と語っている。

 

 グレタさんは、こう言い切った。「私たちは、闘うことを決してやめない。この地球のため、私たちのため、私たちの未来のため、私たちの子どもや孫たちの未来のために、闘うことを決してやめない」。日本でも、子どもたち、普通の人たちが、声をあげ、こぶしを突き上げる日が来るのだろうか。

 

https://www.theguardian.com/environment/2019/apr/21/extinction-rebellion-london-protesters-offer-pause-climate-action