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温暖化の進展で、2050年までに世界の空調需要が3倍増に。中国、インド等は5倍増。世界銀行が民間団体と連携、温暖化に優しい「代替フロンのクーリングシステム」普及推進へ(RIEF)

2019-04-28 23:09:58

Coolingキャプチャ

 

 温暖化の進行で熱波等の広がりが続くが、冷房・空調設備への需要が2050年までに、世界全体で3倍に、インドや中国、ブラジル、インドネシアなどの熱帯・亜熱帯地域では、5倍に増える見通しだ。世界銀行の新プログラムで判明した。「暑い都市」は温暖化の要因に加えて、人口増、人口の都市への集中、途上国の所得増等の要因で加速するとみられる。

 

  温暖化の加速による気温上昇がもたらす熱波、干害等の影響は年々、激しさを増している。2003年の欧州で起きた熱波では、約7万人が死亡、2010年のモスクワでは約1万人などの規模に膨らんでいる。死者を伴う熱波は、毎年、世界で平均60件以上発生し、世界人口の30%が年間20日以上の異常な暑さに見舞われているという。

 

 このままでは、2100年には最大で世界の人口の4分の3が、熱波による死の脅威にさらされるとの試算もある。仮に効果的な温暖化対策を実行でき、CO2量を削減できたとしても、2人に1人は熱波の中で少なくとも20日を過ごさなければならない状況が続くとされる。

 

 こうした事態に対処するため、人はクーラーに頼り、冷たい飲料水を求める。したがって、エネルギー消費の大きい冷房・空調設備、冷蔵庫、保冷設備等の需要が今後、途上国を中心に増大することになる。しかし、そうなるとさらにCO2排出量増大につながる。

 

 そこで温暖化につながらない代替フロンを使った、エネルギー効率のいい空調機や冷蔵庫の普及が必要になる。世銀は、途上国向けに、そうした代替フロンのクーリングシステム普及を進める民間財団による共同慈善活動「Kigali Cooling Efficiency Program(K-CEP)」と協力し、持続可能な「クーリングシステム」の導入プロジェクトを推進することになった。

 

 プロジェクトにはK-CEPが300万㌦(3億3300万円)を拠出、世銀が対象となる途上国政府と協力して、「クーリングシステム」の普及に務めるという。プロジェクトは、ヒートアイランド化する都市部のクーリングや、より涼しい表面素材を創り出すための革新的な原材料を探すなどの幅広い事業を対象としている。

 

  K-CEPはビル・ゲイツ氏をはじめ、Children’s Investment Fund Foundation, ClimateWorks Foundationなど17の財団・慈善団体等が、途上国のクーリングシステムのエネルギー効率化を促進するため、総額5100万㌦(約56億6000万円)の拠出を約束している。

 

 世界銀行の気候ファンドマネジメント・ユニットのMarc Sadler氏は「持続可能な『クーリング』へのアプローチが、CO2排出削減と気温上昇リスク減少の両面で中心テーマになる。このプログラムは共同的なソリューションを加速し、途上国で高まるクーリング需要に適合したファイナンスにつながる」と指摘している。

 

 適切なクーリングシステムの不整備は、マラリアなどの熱帯伝染病を防ぐためのワクチン等の普及を妨げるほか、食料品は腐敗の進展などで年間製造品の約3分の1が廃棄される問題も引き起こしているという。これらの結果、年間150万人の死者増につながっている、と指摘している。

http://www.worldbank.org/en/news/press-release/2019/04/24/new-program-to-scale-up-efficient-clean-cooling-in-developing-countries

https://www.k-cep.org/wp-content/uploads/2018/10/Window-3-Application-Package.pdf