保育園で園児がいる時間帯に、アスベスト飛散工事。長野・飯田市で。吸引すれば、数十年後に肺がん等発生の可能性。「無自覚な大人」の対応で、将来不安を背負わされる子どもたち（各紙）

｜HOME ｜保育園で園児がいる時間帯に、アスベスト飛散工事。長野・飯田市で。吸引すれば、数十年後に肺がん等発生の可能性。「無自覚な大人」の対応で、将来不安を背負わされる子どもたち（各紙）｜

保育園で園児がいる時間帯に、アスベスト飛散工事。長野・飯田市で。吸引すれば、数十年後に肺がん等発生の可能性。「無自覚な大人」の対応で、将来不安を背負わされる子どもたち（各紙）

2019-05-20 18:14:20

　各紙の報道によると、長野県飯田市の明星保育園で、園児や職員がいる時間帯にアスベストが飛散した恐れのある工事が行われた。事態を重視した長野県は、法律で義務づけられた対策や届け出をしていなかったとして、工事業者や保育園に行政指導を行った。園児たちがアスベストを吸い込んだかどうかはわからない。

　（写真は、園児が遊んでいる保育園でアスベスト飛散工事を実施した長野・飯田市の保育園）

　NHKが伝えた。長野県によると、工事が行われたのは去年12月。飯田市内の「明星保育園」で、園舎の改修工事の際、旧建物にアスベスト資材が使われているのに、同アスベストの飛散を防ぐ対策をとらないまま天井板をはがすなどの工事を実施したという。

　　大気汚染防止法では、アスベストが断熱材等に使われいる建物等については、使用時は被覆等の措置で対応するが、工事等で資材を撤去する際には、飛散を防ぐ対策や事前の作業の届け出を義務づけている。飛散した微細なアスベスト繊維等を吸い込むと、肺内部等に突き刺さり、将来の肺がんや中皮腫がん等を引き起こす可能性があるためだ。

アスベスト除去工事は、吸引しないよう慎重な対策を実施して行われる

　しかし、今回、飯田市で工事を手掛けた同市内の業者2社はそうした飛散防止対策をとっていなかった。また工事を発注した保育園も県への届け出を行っていなかった。このため同県は、工事に関わった業者と保育園に対し、先月、行政指導を行ったという。しかし、工事を終えてからの行政指導では被害防止には全く効果がない。

　業者と保育園は、県に対し「法律上の義務を知らなかった」と話しているという。保育園にると、工事が行われた時、園内には、およそ120人の園児と約30人の職員がいた。これまでのところ健康被害の訴えはないという。しかし、アスベストの被害は海外でも、吸引から20年、30年後にがんの発生要因になる事例が相次いで報告されている。

　NHKは、長野県の話として、「今回は、工事の期間が短いため健康被害が出るおそれは大きくないとみている」と伝えている。だが、そうした見通しは、実際の園児の吸引の有無を確認しない限り、何の根拠もない。