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海岸に漂着する廃プラスチック量は、堆積物まで含めると、目で見える量の約26倍。オーストラリアの大半が無人島の離島群での調査で判明。多くがマイクロプラスチック化(RIEF)

2019-05-21 22:39:53

Cocos4キャプチャ

 

  グローバルに問題化している廃プラスチック汚染。各地の海岸に漂着する廃プラのヤマは、問題の広がりを感じさせるが、実は、海岸に漂着している廃プラの量は、海岸で目に見えているものの26倍もあるとの推定結果が公表された。研究者たちは、「われわれは、ごみの堆積の規模を大幅に過小評価してきた」と指摘している。

 

 (写真は、人はいないのに、廃プラごみが山のように漂着しているココス諸島のある島)

 

 調査を行ったのは、タスマニア大学海洋南極研究機関のジェニファー・ラバーズ(Jennifer Lavers)氏らのチーム。論文は英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。

 

 チームは、オーストラリア本土の西約2100kmのインド洋上に浮かぶココス諸島(Cocos Islands)を調査対象とした。同諸島は27の小さな環礁群から成り、人が住んでいる島は限られる。いずれの島も離れ島で島内での生活物資による廃棄よりも、海流に乗ってたどり着く廃プラが大半だ。研究チームは各島の海岸を2カ所ずつ調査した。

 

これらの漂着ごみの「26倍」の廃プラ漂着物が海岸に堆積
これらの漂着ごみの「26倍」の廃プラ漂着物が海岸に堆積

 

 その結果、同諸島全体で2万3227個、96.67kgの廃プラ片を検出した。チームは、これらのデータを元に、同諸島全体の廃プラ堆積量を約4億1400万個、重量にして約238㌧と推定した。

 

 検出された廃プラのうち25%はストロー、ポリ袋、歯ブラシなどの廃棄されたプラスチック製品等が分解したものだったという。また全体の93%(最大3億8000万個)は海岸の地表から10cm以内で検出した。

 

 海岸の砂浜等に埋まっていた廃プラの過半(約60%まで)はマイクロプラスチック化(2-5mm)していた。これまでの海岸調査では、海岸の表面に漂着した廃プラ量だけを調べるものが多かった。今回の調査では、推計した廃プラ量の9割以上が、海岸地表から10cm以内に埋まったもので、地表面での廃プラより26倍多いことがわかった。

 

赤印が、ココス諸島
赤印が、ココス諸島

 

 さらに、今回の堆積物の調査は地表から10cmまでを調べたが、研究チームは「堆積物は、地表を掘った深さが深くなっても、検出量が減らなかった」と報告している。さらに深く調べると、堆積物はもっと増える可能性があるという。マイクロプラスチック化した超微細な廃プラ片が、砂と混じって、より深く沈み込んでいることが推計される。

 

  論文執筆者のラバーズ氏は「プラ片がどれくらい埋まっているかを確認するため堆積物を掘った際、深く掘っても、その量が減らなかったことは大きな驚きの一つだ」と指摘している。論文は、これまでの廃プラ調査は、「ごみの堆積の規模を大幅に過小評価してきた」と結論付けている。

 

https://www.nature.com/articles/s41598-019-43375-4