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日清食品、カップヌードル容器をサトウキビ由来の植物プラスチックに切り替え、段階的に進め、数年以内に使用率97%を目指す(RIEF)

2019-06-11 01:04:53

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 日清食品ホールディングス(HD)は、主力商品カップヌードルの容器を植物由来プラスチックを使った「バイオマスECOカップ」へ切り替えることを明らかにした。今年12月から導入し、カップヌードル発売50周年となる2021年度中に全量を切り替える、他の製品の容器も順次、非石油資源の素材に切り替え、数年以内に使用率を97%にまで高める。カップヌードル容器の「脱プラ化」は、昨年夏に安藤宏基社長が明らかにしていた。

 

  日清の安藤社長は、昨年8月24日に東京で開いた日清食品の「チキンラーメン」誕生60周年記念の記者会見で、「袋麺の袋やカップ麺のカップなどを生分解性の素材へ置きかえていく」と宣言していた。

 

 日清は2008年に、カップヌードルの容器を、断熱性、保温性に優れた発泡スチロール (発泡ポリスチレン) 製の容器から、再生可能資源である紙を使用した「ECOカップ」に変更している。今回、さらに環境負荷を削減するため、「ECOカップ」が持つ断熱性や保香性を維持しつつ、容器に使用している石油由来のプラスチックを植物由来のバイオマスプラスチックに一部置き換え、バイオマス度を81%に引き上げた「バイオマスECOカップ」の導入を決めた。

 

 新たなECOカップは、従来の容器に比べて1カップ当たりの石油由来プラスチック使用量をほぼ半減するほか、焼却時に排出されるCO2量は約16%削減できる。廃プラ削減とともに、石油由来品を減らしCO2排出削減効果も高めることができる。

 

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 容器に新たに入れる植物由来プラスチックは、サトウキビからできた植物性樹脂「バイオマスポリエチレン」。当面、容器の材料として1~2割の割合で使う。すでに食品の包装資材で一部採用している。12月の製造分から本格的に、新型容器に切り替える。このため、数十億円を投じて製造設備を整える。

 同社グループでは、すでに現在、使用している容器の約7割は植物由来の紙製となっている。その理由は、食品への石油由来プラのにおい移りを防ぐことが主な理由。2021年度までには、現在、まだ約3割の使用率となっている石油由来プラを半減させて、植物由来の新素材に置き換える。

 植物由来プラは焼却処理した場合、バイオ燃料として大気中のCO2総量を増やさないとして計算される。このため、植物由来の新型容器を製造時から焼却までのライフサイクルで評価すると、CO2排出量は既存容器より2割弱減らせるという。

  これまでバイオマスポリエチレンは石油由来品より割高だったが、日清は包装資材メーカーと共同で成分の配合比率などを工夫し、コストを既存容器並みに抑えることに成功したとしている。

 今後、植物由来プラを容器に使う比率を徐々に高め、対象商品の範囲も、カップヌードルだけでなく、「日清焼そばU.F.O.」や「日清のどん兵衛」など人気の他のカップ麺にも広げる。また、別途販売している袋麺の袋にも新素材を導入する。

 日本即席食品工業協会(東京・台東)によると、国内の即席麺生産量は18年に約57億食。一般の包装・容器系の廃プラスチックに占める割合は、年間重量ベースで2%程度(推定)で、レジ袋(推定6%)に比べると負荷は小さいが、即席麺国内最大手の日清が導入することで植物性プラスチックの開発・普及が加速する可能性がある。

 即席麺は世界中で年1000億食超が消費されている。フランスでは包装袋など一部のプラ製品で25年までに6割以上の原料を植物由来とする法律が成立するなど、海外でも規制が強化される動きがある。

https://www.nissin.com/jp/news/7874