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マイクロプラスチックが有害物質を貝の体内に取り込む「経路」として機能している可能性。東京農工大の研究チームが指摘。貝類の生殖器官等に高濃度で蓄積(各紙)

2019-06-12 17:18:24

Gomi7キャプチャ

 

 各紙の報道によると、海の微小なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」に元々含まれていたり、表面に吸着されたりした有害化学物質が、貝などの生物の体内に取り込まれ、生殖器官などに蓄積することが確認された。

 

 東京新聞が報じた。東京農工大などの研究グループが野外調査と室内実験で確かめた。同大の高田秀重教授は「マイクロプラスチックが有害化学物質を生物体内に運ぶ経路となっている。人間を含め、このような形で体に入る影響を詳しく調べる必要がある」と指摘した。

 

 プラスチック粒子に含まれる有害物質が生物の体内に蓄積することはこれまでの研究でも指摘されている。ただ、蓄積の詳しいことは分かっていなかった。高田教授らは、研究成果について12日からさいたま市で開く環境化学討論会で発表する。

 

 研究グループは2018年10月に沖縄県の座間味島で、大量のプラスチックごみやマイクロプラスチックが漂着した海岸で貝の一種イソハマグリや、ムラサキオカヤドカリなどを採取。体内の有害物質濃度を分析し、島内のプラスチックごみがほとんどない地域で採取したものと比較した。

 

 汚染が激しい地域のムラサキオカヤドカリからは、マイクロプラスチックが体重1g当たり最大482個見つかった。これに対して、非汚染地域の個体ではほとんど見つからなかった。また汚染地域の貝の体内の肝膵臓(かんすいぞう)からは、プラスチックを燃えにくくするために、製造過程で加えられる毒性の強い臭素系難燃剤の一種が、高濃度で検出された。有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)の体内濃度はヤドカリもイソハマグリも高かった。

 

 こうしたフィールド調査に加えて、研究グループは、海水中のPCBなどの汚染物質を吸着させたポリエチレン微粒子を使い、室内実験も実施した。微粒子を入れた水でムラサキイガイを飼育すると、いったん体内に取り込まれた粒子は実験開始から24日後にほとんど排出されたが、生殖器官中のPCB濃度が高いことが判明した。PCBが粒子から溶け出して移行、蓄積したことが分かったとしている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019061202000152.html