HOME8.温暖化・気候変動 |熱波の影響で、米カリフォルニア州の海岸で、岩場に取り残されたムール貝が「自然に茹で上がった」との報告。本当(?)(RIEF) |

熱波の影響で、米カリフォルニア州の海岸で、岩場に取り残されたムール貝が「自然に茹で上がった」との報告。本当(?)(RIEF)

2019-07-05 18:06:56

Moolshellキャプチャ

 

 記録的な熱波による高温が続く欧米各国。6月に一部で38℃を記録した米カリフォルニア州で、とんでもない話が話題になっている。サンフランシスコから車で1時間ほどのボデガ湾で、岩場に生息していたムール貝が、日中の暑さで過熱され自然に茹で上がった状態で発見されたという。「ムール貝の海水蒸し」というわけ。

 

 ムール貝の「悲惨な?(あるいはおいしそうな)」姿を発見したのは、同地の海洋保護区で研究コーディネーターを務めるジャッキー・ソーンズ(Jackie Sones)さん。干潮時には一部で38℃(華氏100°)にもなり、海水が引いた岩場に取り残された多くのムール貝が、殻を開け、干からび、一部は「調理された感じ」になっていたという。

 

  ソーンズさん以外の研究者も、茹で上がったムール貝をあちこちで発見した。ムール貝の死骸は、ボデガ湾の沿岸225kmの各地で見つかったという。ソーンズさんによると、少なくとも過去15年間で最大のムール貝の犠牲としている。

 

ムール貝は沿岸部での生態系の基本生物とされ、ソーンズさんは他の海洋生態系にも影響が及んでいる可能性を危惧している。ただ、こうした海洋生態系に及ぼす温度や海洋の変化のデータは少なく、実際の被害は不明と言うのが実態のようだ。

 

  温暖化が海洋に及ぼす影響は、熱波による海温上昇のほかに、大気中のCO2を海水が吸収して起きる海洋酸性化、さらに海面上昇などがある。

 

 米コロンビア大学の生物学者のクリストファー・ハーレー( Christopher Harley )教授によると、2004年の春にも同様の記録的な猛暑と、干潮時刻が日中に重なって、沿岸部の生物たちが打撃を受けたケースがあるという。同教授は今回の現象は当時より、規模が大きいとみている。

 

 同教授は「こうした現象は今後、もっと頻繁に、もっと激しい形で起きるだろう。探鉱事故の際、救助隊がカナリアの入ったかごを下げて鉱内に入る。カナリアが有毒ガスに敏感に反応するためだが、ムール貝も同様に、気候変動の影響を敏感に感じとって反応する生物といえる」と述べている。

 

「ムール貝の海水蒸し」は笑い事ではないのだ。

 

https://www.theguardian.com/environment/2019/jun/28/california-mussels-cooked-heat

https://bodegahead.blogspot.com/2019/06/too-hot.html