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太平洋マグロ漁業の福一漁業(静岡)、公海で廃油・バルジ油等の不正投棄で米沿岸警備隊から摘発。漁具やプラスチックも廃棄。罰金1億6500万円と、米EEZでの5年間操業停止措置(RIEF)

2019-07-16 12:44:02

fukuichi1キャプチャ

 

 米司法省は11日、日本の福一漁業(静岡)所属の漁船が、グアム近海で船の廃油とバルジ油を不法投棄したとして、船舶汚染防止法違反と、公務執行妨害で、同社に有罪を言い渡した。同社は、150万㌦(約1億6500万円)の罰金支払いと、5年の執行猶予を受けた。同社は執行猶予期間中、米国の排他的経済水域(EEZ)での操業を禁止される。

 

 (写真は、福一漁業所有の漁船。今回摘発された漁船とは別)

 

 福一漁業は、静岡県焼津市に本社を置く遠洋漁業や水産加工・販売等を中心とした水産物会社。創業宝永2年という歴史を持つ。グループ全体で従業員416人、年商342億円としている。https://fukuichi-world.jp/about/outline/

 

 同社は自社の海外まき網船を5隻所有し、中西部太平洋を中心に、1航海3~40日の操業をしているという。主に、マグロ、カツオを漁獲していると説明している。

 

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  米司法省の発表によると、海洋汚染の摘発を受けたのは、同社の「第112福一丸」。4月1日にグアム島のアプラ港に冷凍施設の修理のために入港した際、米沿岸警備隊の臨検を受け、公海上で、廃油とバルジ油を放出していたことなどが見つかった。さらにそうした情報を隠そうとしていたと指摘されている。同船に対する嫌疑には、漁具や廃プラスチックなどを紛失・投棄しながら報告せず、記録を改ざんしたことも含まれ、これらも公務執行妨害とみなされた。

 

 米司法省の発表では、同省環境自然資源局の検察官補のJeffrey Bossert Clark氏のコメントとして「福一漁業は、廃油を海洋に投棄して国際的な法を破り、さらに悪いことは、沿岸警備隊の検査を妨害して不正を隠そうとした点だ」との指摘が示されている。

 

 別の役人は、「福一漁業は過去何十年も、基本的な環境への配慮を無視して西太平洋の海域で漁業を重ねてきた。今後もそうした操業を続けるつもりだったに違いない。太平洋の海と資源は、今回の処罰で守られた」と述べている。

 

遠洋漁業での操業風景
遠洋漁業での操業風景

 

 司法省の発表では、今回の措置に対して、福一漁業は違法投棄と公務執行妨害を認めたとしている。 罰金の支払いに加え、執行猶予期間中は、米国の事前承認なしには、米EEZでの操業は禁じられる。さらに、漁船の監査を含む環境コンプライアンス計画(ECP)の作成を求められる。同社の漁船への監査結果は、米沿岸警備隊に送付され、チェックされる。

 

 福一漁業のHPでは「海の恩恵を受け、海と一体となって『福一』は、明日への躍進を続けています」とのメッセージを記載している。海に不正に廃棄物を投棄してそれを隠蔽しようとしたことは、自らの「海と一体」のメッセージを踏みにじったことになる。

 

https://www.justice.gov/opa/pr/japanese-fishing-company-convicted-obstruction-justice-and-falsifying-records-cover-illegal

https://fukuichi-world.jp/service/fed/