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東急建設、グリーンインフラ実証実験の成果公表。豪雨対策の雨水利用、雨水流出抑制に効果。環境保全ではビオトープに効果。ホタルも育成(RIEF)

2019-07-20 00:22:43

tokyukensetu1キャプチャ

 

 東急建設(東京)は、都市の防災と自然環境の保全を両立させる「グリーンインフラ」の実証実験の結果をまとめた。雨水を活用する豪雨対策では、雨水を浸透促進・貯留して流出を抑制できることを立証した。環境保全面では、貯留した雨水を有効活用するビオトープ(水辺の生息空間)を作成、雨水を自然に還す雨水の浸透促進と暑熱緩和効果を評価、グリーンインフラの手応えを確認した。

 

 同社の実証実験は、2018年3月に技術研究所(神 奈川県相模原市)内に設置したグリーンインフラ実証施設で約1年間のデータ計測を行う形で進められてきた。雨水の調整による豪雨対策と、その雨水を利用したビオトープで自然環境が有する多様な機能や、ビオトープでのホタルの生息を確認したという。http://rief-jp.org/ct12/80370

 

 研究所の敷地内に、雨水貯留槽、雨水貯留水循環型ビオトープ(ホタルの育成)、雨水浸透促進設備等を設置。雨水の貯留量と施設で消費する水収支や生物生息空間としての基礎実験データなどを収集、分析した。

 

グリーンインフラ実証実験を行った東急建設の技術研究所
グリーンインフラ実証実験を行った東急建設の技術研究所

 

 その結果、実証実験の目的の一つである「都市型集中豪雨対策」では、集中豪雨時にグリーンインフラ施設が雨水を浸透促進させるとともに、雨水を貯留して流出抑制する効果があることを確認できたとしている。

 

 もうひとつの目的「環境保全技術開発」では、貯留した雨水を有効活用した水辺の生息空間(ビオトープ)を創出し、雨水を自然に還す雨水の浸透促進と暑熱緩和対策としての有効性を確認した。研究所の所在地は、四季を通じて様々な昆虫類や鳥類等が生息・育成できる場で、周辺の緑地との中継地としてエコロジカルネットワークの形成等、生物多様性の保全にも役立っている。

 

 ビオトープでは 2019年3月から5月にかけて、ヘイケボタルの幼虫を約80匹を放流した結 果、6月には成虫のホタルを確認。約1か月間にわたって、ヘイケボタルが観察された。同社は「ホタル生息環境の創出に成功した」としている。

 

 東急建設では、実証実験で収集したデータをもとに、グリーンインフラの要素技術の高度化と段階的な改良を進め、今後、都市部におけるグリーンインフラ施設の設置提案や、横浜市が進める上郷開発計画(仮称)などの環境保全への活用を進めていくとしている。

 

 地域でのグリーンインフラは、地域住民との協働や民間企業との連携によって、多様なステークホルダーが活動に参加できる期待もある。グリーンインフラを軸として、環境保全と、新たなコミュニティ活動の活発化が促進される可能性がある。

 

https://www.tokyu-cnst.co.jp/index/download/3381/inline/20190712newsletter.pdf