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日本から違法取引の象牙、規制強化された中国市場へ、国際郵便等を使って違法輸出が急増。今年上半期だけですでに昨年1年分を上回る。国際環境団体は環境省の業者行政を批判(RIEF)

2019-08-19 11:42:37

zouge1キャプチャ

 

 日本が、ワシントン条約で国際取引が禁止されている象牙を中国に違法輸出する中継基地になっている、との報告が公表された。米国の環境団体「Environmental Investigation Agency(EIA」)によると、今年上半期に少なくとも23件が発覚、昨年1年間全体をすでに4件、上回ったという。違法輸出には郵便局の国際郵便等が利用されていた。

 

 (写真は、2017年8月に、日本からの違法輸入の象牙商品を欧州した中国当局(WWFジャパン)

 

 日本での絶滅危惧のある象牙や希少生物の加工品等の規制は、環境省が担当している。だが、EIAは「日本では規制が緩く、象牙や加工品が大量に流通しており、国内象牙市場が閉鎖された中国への新たな供給源になっている可能性がある」と、国内業者の保護を優先する環境省の「業者行政」を批判している。

 

 象牙の国内市場を巡っては2016年のワシントン条約締約国会議で、密猟や象牙の違法取引に関与している場合、各国政府が閉鎖すべきだとの決議を採択した。このため、中国のほか米国やフランス、シンガポールは閉鎖した。だが日本の環境省は、国内取引は厳格な管理下にあるとして、国内売買の容認を継続したまま。

 

 ジュネーブでは現在、ワシントン条約締約国会議が開催中で、象牙市場閉鎖を求める決議案が出されている。同決議案は、国際規制の抜け穴となっている日本を念頭に置いた提案とされる。

 

 EIAによると、今年1月に中国・広州で日本の郵便小包13個から計18kgの象牙製品が見つかったほか、規制の緩い日本の郵便局の国際郵便を利用した手口が目立っている。

 

 5月には中国の空港で、日本から帰国した中国人が象牙製品80個の持ち込もうとして逮捕されている。中国市場では規制が厳しくなったことから、規制の緩い日本市場に「買い出し」に行くケースが増えているとの見方もある。

 

 EIAは、日本では象牙等が大量流通しているのに、政府の規制が弱く、規制を強化する中国などの他国市場への新たな供給源になっている可能性があると指摘。「日本は、違法取引を撲滅する国際的な努力を妨げている」と批判している。

 

https://eia-international.org/