HOME |今夏のフランスでの熱波襲来で、関連の死者数1435人。2003年の約10分の1だが、例年より9.1%高。高齢者の死亡が中心。温暖化加速で「熱波が常態化」(各紙) |

今夏のフランスでの熱波襲来で、関連の死者数1435人。2003年の約10分の1だが、例年より9.1%高。高齢者の死亡が中心。温暖化加速で「熱波が常態化」(各紙)

2019-09-10 08:36:49

110番Parisキャプチャ

 

 各紙の報道によると、フランスではこの夏、2度にわたって熱波の襲来があったが、熱波関連の死者数は1435人に達したことが明らかになった。熱波期間中の死亡率は、例年に比べ、9.1%高かったという。ただ、2003年の熱波では、今年より約10倍多い推定1万5000人が死亡したとされている。

 

 熱波死者の推計は、仏保健相のアニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)氏が公表した。フランスなど欧州各地は今年6月24日~7月7日と7月21日~27日の2度にわたり、激しい熱波に見舞われた。6月28日には同国南部で観測史上最高となる46度を記録した。https://rief-jp.org/ct12/91199

 

 ビュザン氏はフランスのラジオ局で、今年6月と7月の死者数はこの2か月の平均より「1500人多かった」と指摘。ただ、2003年の熱波に比べると10分の1だったことも指摘した。

 

高齢者施設でもエアコンの整備が不十分
高齢者施設でもエアコンの整備が不十分

 

 欧州の多くの地域では、住宅等の建物が酷暑に対応できる造りになっていない。また、通常は夏の暑い季節は限られていることから、エアコンを備えている家庭も少ない。2017年の報告書では、家庭の5%足らずだったという。猛暑で公共交通機関がマヒするケースもある。

 

 こうした生活環境から、特に高齢者が影響を受けやすい。フランス保健省によると、今夏の熱波に関連する死者のうち974人は75歳以上の高齢者だった。うち10人は仕事中に死亡し、大半は屋外で働いていたという。

 

 2003年夏に、1万5000人という記録的な死者を出した際は、ヨンヌ県で8月初旬に8日連続で40℃以上の気温が観測されるなど、激しい熱波に襲われた。その際の死者の多くも高齢者だった。同年は欧州全体での熱波死者数は7万人に達したとの推計もある。

 

 この時の熱波をきっかけに、フランス政府は全国熱中症警戒情報システム(SACS)を開発し、早めの警報を発令する対策を導入した。今年の死者数が相対的に低く抑えられたのも、警戒態勢整備の結果との指摘もある。

 

 ただ、毎年のように発生する熱波襲来については、温暖化の進展による気温上昇が常態化を示すもので、今後さらに加速するリスクがあるとみられている。最近の夏の死亡率は、2015年で10.1%、18年で15%それぞれ例年より上昇したとされている。

 

https://www.cnn.co.jp/world/35142394.html