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オランダのNGO、太平洋ゴミベルト地帯の廃プラスチックの試験回収に成功。昨年の失敗を挽回。5年以内に、日本の面積の約4倍もある「ごみベルト」の半減を目指す(RIEF)

2019-10-04 12:45:16

 

   太平洋のゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)の回収作業に着手したオランダのNGO「オーシャン・クリーンナップ(Ocean Cleanup)」が、初めて同海域でのプラスチックゴミの回収に成功した、と発表した。ゴミ回収のために開発した改良型清掃システムの「System 001/B」が海洋上に浮かぶ廃プラや巨大な魚網、さらにマイクロプラスチックも採取した。

 

 (写真は、記者会見でゴミ回収の成功を説明する代表のスラットさん㊧)

 

 Ocean Cleanupは、16歳の高校生だったオランダのボヤン・スラット(Boyan Slat)さんが、海洋に漂うプラスチックの多さにショックを受けて、それらを回収するためのシステムを開発、世界中から資金的支援を受けて取り組んでいるもの。現在、25歳になったスラットさんたちが開発した仕組みは、太陽光などのクリーンなエネルギーを活⽤して、海洋に漂う⼤量のゴミを回収・リサイクルするシステム。

 

海面状にU字のチューブを張って回収する
海面状にU字のチューブを張って回収する

 

 全⻑約600mのプラスチック製の浮きをU字型に設置し、浮きの下部に設置された約3mのスクリーンで、⾵と潮の流れによって内側にプラスチックごみを集める仕組みだ。集めたゴミは太陽光発電で駆動するり装置で回収する。⿂などの海洋⽣物はスクリーンの下をすり抜けるため、⽣態系への影響はない。コストも従来の船や網を使う方式より1/33で済むほか、スピードも7900倍も速くできる設計になっている。

 

 ただ、昨年末に実施した「System 001」による試験回収では、U字状の浮きの両端が割れてしまい、回収に失敗していた。この経験から、浮きを強化するとともに、海洋に浮かぶゴミの回収のため、スピード調節ができるように改造。サイズも約160mと小規模にした「System 001/B」で、今回、再度挑戦していた。

 

 今回は9月9日に、米サンフランシスコから清掃船マースク・ランチャー(Maersk Launcher)号が出航、カリフォルニア州とハワイ州の間の海域に漂う太平洋ゴミベルト地帯で試験回収を実施した。その結果、廃プラスチックや魚網等の回収に成功した。回収のスピード変化の実験も成功したという。

 

作業中、クジラやアホウドリがやってきたという。「人間はちゃんと後始末をつけてくれるのかな?」と心配げに。
作業中、クジラやアホウドリがやってきたという。「人間はちゃんと後始末をつけてくれるのかな?」と心配して・・・。

 

 計画では、今後5年間で、太平洋ゴミベルトに漂う廃プラの量を半減させることを目標としている。スラットさんは今後、大きな枕形のゴム製ブイからなる、長さ100kmの巨大なV字形バリアーを設置したいと、夢を膨らませている。

 

 太平洋ゴミベルトは広さ160k㎡と推定され、日本の面積の4倍以上。2011 年の東日本大震災で大量の瓦礫等が流出し、一段と拡大したとされる。スラットさんは、「巨大な漁網からイクロプラスチックまで、太平洋ごみベルトに漂う廃プラスチックを回収したのは実質、今回が始めて。われわれは実際に海洋をきれいにできると考えている」と述べた。

 

 スラット氏は、この廃プラスチックゴミ回収のアイデアで、国連環境賞「チャンピオン・オブ・ジ・アース(Champion of the Earth)」を最年少で受賞している。当初は航空工学を目指していたが、ゴミ回収のプロジェクトに専念し、NGO活動を展開している。

https://theoceancleanup.com/updates/the-ocean-cleanup-successfully-catches-plastic-in-the-great-pacific-garbage-patch/

https://theoceancleanup.com/updates/system-001-b-the-mission-plan/