HOME8.温暖化・気候変動 |カトリック教会、アマゾンの乱開発停止を求める「司教会議(シノドス)」声明発表。略奪型開発ではなく、持続可能な森林保護等を提言へ。ブラジルのボルサナロ政権と対立も(RIEF) |

カトリック教会、アマゾンの乱開発停止を求める「司教会議(シノドス)」声明発表。略奪型開発ではなく、持続可能な森林保護等を提言へ。ブラジルのボルサナロ政権と対立も(RIEF)

2019-11-05 07:18:12

司教会議を見守ったアマゾンの先住民族たちに囲まれるフランシス法王

 

 10月初めからバチカンのカトリック教会本部で開かれていた「アマゾン周辺地域のための特別シノドス(司教会議)」は先週、終了した。同教会は、「アマゾンは無尽蔵の食糧庫ではない。森林伐採や採掘、単一栽培等の大規模開発を停止すべき」との声明を出した。ブラジルのボルサナロ政権の開発政策と真っ向対立する形となりそうだ。

 

 (写真は、司教会議を見守ったアマゾンの先住民族らに囲まれるフランシス法王)

 

 アマゾンを対象とした司教会議は、2017年にフランシス法王が提唱して進められてきた。世界中から8万人以上が参加。今回、アマゾンでの森林火災の急増で同地域の生態系全体の危機が表面化したことで、世界中から注目される形での会議となった。http://rief-jp.org/ct10/94659?ctid=74

 

 3週間に及んだ会議のテーマはアマゾン周辺地域だが、同時に、その考察は地域を超え、全教会ならび地球の未来と関わりを持つもの、と位置づけられた。

 

先住民と親しく歓談するフランシス法王
先住民と親しく歓談するフランシス法王

 

 主導したフランシスコ法王は会議で「アマゾンはあらゆる種類の不当行為によって苦しんでいる」「過去の失敗は、他者から掠め取り、我々の兄弟であり姉妹である大地を傷つける事を止めるには不充分だった」「暴力と略奪が続いている事は変形したアマゾンの顔が示している」などと強い危機感を示した、と伝えられた。

 

 司教会議は終了後に声明を発表。「アマゾンで起きている森林火災等の破壊活動の最大の原因の一つは、人類の欲望に基づく略奪主義の開発至上主義にある。これが問題の根源」という点で合意したことを宣言した。http://rief-jp.org/ct12/93056?ctid=65

 

 そのうえで、「教会は、アマゾン地域の先住民コミュニティを攻撃したり、環境に影響を及ぼすプロジェクトを推進したり、人々の領土を侵害したり、収奪的な経済モデルや、環境破壊的開発等を告発する人々との連帯を引き受ける」と述べた。

 

 また、ブラジルのボルサナロ政権が推進する経済至上主義的なアマゾン開発とは別に、先住民族の人権を踏まえ、環境を保護を重視した代替的な持続可能な開発計画の必要性でも一致した。採択された声明の内容については、今年中に法王が分析し、「教会会議後の使徒的勧め」と題する文書の形で公表される予定という。

 

バチカンに集まり、司教会議を見守る先住民たち
バチカンに集まり、司教会議を見守る先住民たち

 

 声明で示された「代替案」については、今後、アマゾン地域の先住民コミュニティと、科学的機関等との間でパートナーシップを結び具体化していくという。想定されるのは、持続可能な森林保全やバイオ生産協同組合のような、持続可能な経済、循環、生態系保全を支援するプロジェクトとされる。

 

 バチカンで開発と信教問題を担当するAugusto Zampini氏は、「今回の司教会議は、カトリック教会が、地球と人々の自然生態的な中心への破壊行動に対応するための、具体的な行動を集中的に議論した。われわれは、もはやこれまでと同じようなことを続けられない。われわれ自身が変わらねばならないし、われわれは世界が変わることを望んでいる」と指摘している。

 
 また会議では、アマゾン域内での司祭不足に対応する形で、辺境地域に限って既婚者男性の一部を司祭に任命する提案を賛成128票、反対41票で採択した。数世紀にわたり独身男性のみを司祭に任命してきた伝統を覆す歴史的な判断も示した。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191030-00010000-nikkey-s_ame

http://www.sinodoamazonico.va/content/sinodoamazonico/en/synod-for-the-amazon/synod-for-the-amazon.html