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「米ゴールデン・グローブ賞」受賞式で、オーストラリア出身の俳優ら、山火事を拡大する温暖化の影響を相次いで指摘。ラッセル・クロウさんは「科学に基づいた対策を」求める(RIEF)

2020-01-07 12:29:48

 

 5日に開かれた米アカデミー賞の前哨戦「第77回ゴールデン・グローブ賞」発表・授賞式で、ラッセル・クロウさんやケート・ブランシェットさんら、オーストラリアのスターが、同国で猛威を奮う森林火災が温暖化の影響によることを強調、早急な対応を世界に呼び掛けた。

 

 カリフォルニア州ビバリーヒルズで開かれた同賞は、ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が主催する映画とテレビの祭典。被害はさらに大きくなっており、焼失面積は840万haに拡大、死者も23人に増えている。

 

 映画「グラティエーター」でアカデミー主演男優賞を受賞し、日本にもファンの多いラッセル・クロウさん。ニュージーランド生まれで、4歳からオーストラリアで生活するなど、両国それぞれに関係が深い。今もオーストラリアに自宅を持つ。

 

Russel1キャプチャ

 

 今回、TV番組の「The Loudest Voice」での演技で同部門のベストアクター賞を受賞した。しかし、受賞式に姿を見せなかった。クロウさんのニューサウスウェールズ州のNana Glenにある自宅は、昨年11月に火災の被害を受けた。今も、危険な状態が続くい現地で、新たな被害から家族を守ることを優先したためという。

 

 クロウさんのメッセージは、プレゼンターの米女優、 Jennifer Anistonさんが代読した。「オーストラリアで拡大している悲劇は、明らかに気候変動が原因だ。われわれは科学に基づいて行動し、グローバルな雇用を再生可能エネルギーに向かわせ、われわれの地球が、唯一の存在で、素晴らしい場所であることを尊重する必要がある」。会場は拍手で包まれた。

 

 「エリザベス」等に出演したメルボルン出身のブランシェットさんも、消火活動に当たっているボランティアの消防隊への感謝を示した。「今、多くのオーストラリアの人々がこのテレビを見ていると思う。山火事で被害を受けている多くの同胞が励まし合っていることを知っている。特に気候被害との闘いの真っただ中にいるボランティアの消防隊にエールを送りたい」と語った。

 

 「もちろん、一つの国が気候被害に直面しているということは、他のすべての国も同様に気候被害に直面しているということ。われわれはみんな(温暖化の)被害を受けている」と、気候変動の影響の大きさを強調した。

 

ニコール・キッドマンさん
ニコール・キッドマンさん

 

 ニコール・キッドマンさんやカイリー・ミノーグさんは、それぞれ50万豪㌦(約3700万円)を現地で消火活動に従事する消防隊に寄付を発表した。そのほか、多くの俳優やスポーツマンらが、「気候変動からオーストラリアを救え!」と声を上げている。

 

 これに対して、同国のモリソン首相は気候変動対策に消極的な姿勢を崩していない。同氏は国内で火事が燃え広がっているにもかかわらず、昨年12月中旬から家族とともにクリスマス休暇でハワイに滞在していた。批判を受けて、慌てて休暇を切り上げて帰国した。

 

 また今月半ばには、温暖化の主因である石炭輸出先のインドや日本を訪問する外交スケジュールを崩さない構えをしていた。内外の批判からさすがに、外交スケジュールを変更したが、日本の政治家にも似たお粗末な対応を続けている。

 

 https://www.goldenglobes.com/winners-nominees/2020/all