HOME8.温暖化・気候変動 |森林火災が続くオーストラリアで、16日から南東部中心に豪雨が発生。火災の鎮火に役立つ期待も。一部では洪水にも。ただ、地域差があり、火災がピークアウトするかは不明(各紙) |

森林火災が続くオーストラリアで、16日から南東部中心に豪雨が発生。火災の鎮火に役立つ期待も。一部では洪水にも。ただ、地域差があり、火災がピークアウトするかは不明(各紙)

2020-01-17 23:36:28

CNN11キャプチャ

 

  CNNによると、大規模な森林火災が続いているオーストラリアの南東部のニューサウスウェールズ(NSW)州やビクトリア州などの一部地域で16日から、激しい雷雨が発生し、待望の大雨をもたらしている。ビクトリア州気象局では、降雨量77mmの記録を観測して、洪水が起きた地域もあるという。

 

 (写真は、CNNが伝えるオーストラリアの豪雨の模様=16日)

 

 NSWの地方消防局は17日、「これがあと何日か続くことを祈る」とツイートした。同局によると、州内ではほとんどの火災現場で過去24時間の間に、雨が降った。しかし、それでも火災の消火には十分ではなく、現在も州内では82カ所で火災が続いているという。このうち30件は火勢が強く、食い止めることができていない。

 

今度は豪雨から救出されるコアラたち
今度は洪水から救出されるコアラたち

 

 16日の降雨は、干ばつが続いていた各地にまさに慈雨となって降り注いだ。シドニーなどの大都市でも本降りとなった。

 

 気象台の予報によると、雨は数日降り続く見通しという。ただ、早くも問題が起きている。長期間の干ばつの影響で、地盤の乾燥が続いてきた地域では、雨水が十分に浸みこまず、降った雨は鉄砲水のようになって、周辺地域で洪水を引き起こすリスクが高まっているためだ。

 

 本来であれば、森林等の植生が土壌を通じて雨水を吸収するが、森林火災で森林植生が焼失してしまっている。また、土壌が雨水で不安定になることで、火災で弱った木が倒壊する危険も高まっているという。さらに、焼失灰や森林の燃え残りの残骸等が雨で押し流されて河川や水路に流れ込み、魚類が大量に死亡する事例も報告されている。

 

豪雨は乾燥した地面に十分には浸みこまない
豪雨は乾燥した地面に十分には浸みこまない

 

 またビクトリア州緊急対策局によると、集中して降り注いだ雨水で地盤が削られて、深さ4mの陥没穴が開くなどの被害も発生している模様だ。NSWとビクトリアの両州では、落雷による新たな草原火災の発生等も相次いだ。ただ、降雨の影響で延焼は食い止められている見通し。

 

 CNNによると、地域によって、わずか数時間で1カ月分の降雨量に相当する豪雨に見舞われたところもあるという。しかし、同州で最悪の火災が起きているイーストギプスランド地域ではそれほどの雨は降っていないなど、この雨で森林火災の危機がピークを迎えるかどうかは、まだ不明な状況にある。

https://www.cnn.co.jp/world/35148139.html