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気候変動による「サバクトビバッタ」の大量発生、東アフリカのソマリアが「非常事態宣言」。食糧危機の不安高まる。国際食糧農業機関(FAO)も国際援助の拡大を要請(RIEF)

2020-02-04 14:44:18

luctas2キャプチャ

   気候変動の影響で、サバクトビバッタが異常発生している東アフリカのソマリアは、「国家非常事態宣言」を発した。バッタの発生規模は過去25年で最大で、同国はこのまま春を迎えると、農作物の収穫が壊滅的打撃を受け、深刻な食糧危機に陥るとして、国際社会の支援を求めている。

 東アフリカのサバクトビバッタの異常発生は、ソマリアのほか、エチオピア、ケニア等の国々を中心に、南スーダン、ウガンダにも被害が広がっている。一部は紅海を超えて、中東やインドにも飛来している。https://rief-jp.org/ct12/98638?ctid=70

 億単位のバッタが集まった多数の群れが、各地を縦横無尽に飛び交っているのだ。バッタは一日に150kmを移動し、一日に自分の体重と同量の植物を食べ尽くす。群れが通り過ぎた後は、文字通り、何も残らないという。オーストラリアで猛威を振るっている森林火災が、地球の表面の森も草原も住宅も焼き尽くすように、バッタは地球の表面の植物を食べ尽くすのだ。

国家非常事態宣言を発したソマリアの政府関係者たち
国家非常事態宣言を発したソマリアの政府関係者たち

 国際食糧農業機関(FAO)も「(食糧不足による)人権危機の恐れがある。人々の生活と食料確保のため、国際的な資金供給が必要」とアピールしている。このままだと、バッタの数は6月には500倍に膨張すると警告を発している。

 非常事態宣言を出したソマリアの農業省は、「バッタは農作物や牧草、草花等、あらゆる植物を大量に食い荒らす。ソマリアの食糧安全体制は現状でも万全ではなく、このままバッタの群れを制御できないと、4月の農作物の収穫が危ぶまれる」と訴えている。

空一面に、バッタの群れが延々と飛び続ける
空一面に、バッタの群れが延々と飛び続ける

 ソマリア等の地域は「アフリカの角」と称される東アフリカに属する。各国は飛行機で上空から殺虫剤を散布しているが、押し寄せるバッタの群れのほうが多く、目立った効果は上げていない。また飛行機のエンジン等にバッタが大量に侵入し、昨年12月にはエチオピアのアジスアベバで、旅客機が緊急着陸する事態も起きている。

 このため、ドローンを使って、群れが押し寄せてくるのを事前に感知する対応策を進めている。群れの移動方向を事前に把握し、集中的に殺虫剤を投与する戦略だ。だが、バッタの群れを一つ潰しても、次から次へと波状攻撃のように群れが登場するため、現在のところ、十分な効果をあげられていないという。

http://www.fao.org/news/story/en/item/1259082/icode/

https://www.bbc.com/news/blogs-news-from-elsewhere-51065480