HOME |東電福島第一原発のトリチウム汚染処理水問題で、東電が海洋放出後の拡散試算。沿岸部に拡散。放出反対の県漁連代表「海に『県境』はない。全国の漁業者の声を聞くべき」と要望(各紙) |

東電福島第一原発のトリチウム汚染処理水問題で、東電が海洋放出後の拡散試算。沿岸部に拡散。放出反対の県漁連代表「海に『県境』はない。全国の漁業者の声を聞くべき」と要望(各紙)

2020-04-07 14:37:13

fukushima2キャプチャ

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原子力発電所の事故後、トリチウムを含む汚染処理水タンクが増大し続けている問題で、東電は汚染水を海に放出した場合の拡散状況を試算した。それによると、年間100兆ベクレルを放出すると、原発から沖合2km、南北30kmの細長い範囲にわたって広がり、潮の流れなどによって、沿岸部にもたどり着くという。地元漁業関係者は、反対姿勢を続けている。

 NHKが報道した。東電の試算は、トリチウムを含む汚染処理水を放出した場合、海水1㍑当たりの濃度が1ベクレルを超えるエリアを年間の放出量ごとに予測した。

 たとえば、年間100兆ベクレルを放出すると、原発から沖合2km、南北30kmの細長い帯状に汚染エリアが広がる。年間22兆ベクレルの放出の場合は、沖合700m、南北3kmの範囲になる。ただ、いずれの場合も、放出量の多寡にかかわらず、風や潮の流れの影響で、放出した汚染処理水は沿岸部に沿って細長く広がるという。

左から放出量が「22兆ベクレル」「40兆ベクレル」「50兆ベクレル」「100兆ベクレル」の順

左から放出量が「22兆ベクレル」「40兆ベクレル」「50兆ベクレル」「100兆ベクレル」の順


 現在、福島第一原発の敷地内のタンクに保管されている汚染処理水119万㌧に含まれる放射性物質のトリチウムは860兆ベクレルあるとされる。東電の年間100兆ベクレルベースの試算に基づいて放出すると、約8年強で、全量を海に放出することになる。ただ、その間も、処理水は増えるので、実際の処理期間は10年前後になる。100兆ベクレルを8年連続して放出した場合の拡散状況についてのデータは公表されていない。

 トリチウムなどを含む汚染処理水の処分を巡っては、国の小委員会が、今年2月に、海や大気中に放出するのが現実的との報告書をまとめている。海洋放出については、地元の漁業者などを中心に、沿岸漁業への影響が大きいとする反対の声があがっている。大気への放出については、東電は「一般的なモデルが無い」として拡散の予測を出していない。

タンクは敷地内で一杯だというが、他の敷地を借りるか買収して増設すればいい。
タンクは敷地内で一杯だというが、他の敷地を借りるか買収して大量に増設することは可能なはずだ。

 6日、国が開いた意見徴収会合では、参加者からは海や大気中に放出することによる風評被害を懸念する声が多く上がった。福島県漁連の野崎哲会長は「若い漁業者になりわいを残していくためにも海への放出には反対だ」と述べた。さらに「海には県境がない」と述べて、福島だけでなく全国の漁業者の意見を聞くよう要望した。

 また福島県森林組合連合会の秋元公夫会長も、海や大気中に放出する処分方法は販売先との信頼関係が失われ、森林が荒廃することも懸念されるとして強く反対した。


 これに対して、福島県内の宿泊業者で作る県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸英典理事長は、トリチウムなどを含む水の処分で発生する損害を補償するよう求めたうえで、観光への影響が比較的抑えられるなどとして、海への放出を支持する方針を表明した。

 政府は今月13日にも福島県内で意見を聞く会を開催する予定。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200406/k10012369951000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_006

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200406/k10012371031000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_004