HOME13 原発 |今月初めのチェルノブイリ原発事故の居住禁止区域での森林火災が原因か、2000km離れたノルウェー最北の観測所でセシウム137値上昇。今日26日は同原発事故の34回目の記念日(RIEF) |

今月初めのチェルノブイリ原発事故の居住禁止区域での森林火災が原因か、2000km離れたノルウェー最北の観測所でセシウム137値上昇。今日26日は同原発事故の34回目の記念日(RIEF)

2020-04-26 17:32:07

norway11キャプチャ

 

   ウクライナのチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故の居住禁止区域で今月3日に発生した山火事は、今月半ばに鎮火したが、火災で発生した放射性物質のセシウム137がノルウェーの北極圏近くの観測所で観測されていたことがわかった。今日、4月26日は、チェルノブイリ原発事故が1986年に発生してから34年目の国際事故記念日(International Chernobyl Disaster Remembrance Day)だ。

 

 (写真は、セシウム137を検出した大気観測機器を見せるBredo Møller氏:The Barents Observerから)

 

 チェルノブイリの居住禁止区域で発生した山火事は、一時、事故を起こした4号機に4kmの地点まで迫る勢いをみせた後、同区域のほぼ22%に相当する500ha(東京ドームの約12個分)を焼いて雨で鎮火した。同地区の森林は事故時に大量の放射線を浴びたままだったこともあり、火災直後、現地入りした同国の研究者が、未除染の森林等から「通常常時よりも16倍も高い放射線量を計測した」と公表した。その後、当局が否定、明確な放射性濃度の発表がないままになっている。

 

森林火災は、違法伐採者による放火とみられ、一人が逮捕されている
森林火災は、違法伐採者による放火とみられ、一人が逮捕されている

 

  今回明らかになったのは、火災鎮火からほぼ10日経った段階で、約2000km離れたノルウェー最北のSvanhocdにあるPasvik valleyに設置されているノルウェー放射線原子力安全局の緊急対応ユニットの観測所で、通常よりも高い値のセシウム137を観測していたということだ。ノルウェーには6カ所に大気観測所があるが、セシウム137を測定できるのは、Svanhovdの観測所だけ。

 

 34年前のチェルノブイリ原発事故の際も、当初、当時の旧ソ連は事故を公表しなかったが、事故の2日後の朝、スウェーデンのフロスマルク原発で職員の靴から高線量の放射性物質が検出されたことが発覚のきっかけになっている。今回も、チェルノブイリから北に向かう風に乗って放射性物質が運ばれたとみられる。

 

 ノルウェー現地観測所のBredo Møller氏は「観測したセシウム137の濃度は非常に低い。健康にも環境にも影響はないレベルだ。チェルノブイリ事故後、我々の観測所では時々、セシウム137を大気中から観測することがある。しかし、今回の濃度は、そうした通常のレベルよりも少し高く、1㎥当たり0.3μベクレル前後だった」と指摘している。

 

 さらにMøller氏は、検出したセシウム137の発生源については「わからない」と強調したうえで、「チェルノブイリ地区からの風は、34年前もそうだったが、この地域に届く。引き続き分析を行っていく」と述べている。ノルウェーでは今回の観測結果をロシアを含む近隣各国にデータ提供したが、ロシアでは観測しなかったとの返答があったという。

 

https://thebarentsobserver.com/en/ecology/2020/04/radioactive-cesium-measured-north-could-origin-chernobyl-forest-fires