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イタリアで最後に残るラティーノ原発に対して、政府の廃炉作業許可出る。これで同国の4原発すべてが廃炉確定。イタリアの脱原発明確に(RIEF)

2020-06-04 08:41:16

Latino002キャプチャ

 

 イタリアの経済開発省は、国内で唯一、廃炉作業に着手していなかったラティーナ原発の作業開始を許可した。同国では4つの原発が稼働していたが、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後の1987年の国民投票で脱原発を決めた。その後、政府は原発再稼働を目指したが、東京電力福島第一原発事故の後、再び国民投票で否決された。4原発のうち3原発は現在、廃炉作業中で、唯一、残っていた原発も廃炉プロセスに入ることで、同国の脱原発は確定する。

 

  ラティーナ原発は、ローマから約70kmのラツィオ州ラティーナの集落ボルゴ・サボティーノに設置されている。153MWeのマグノックス炉。黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)とも呼ばれる。核分裂により生じた熱エネルギーを、高温の炭酸ガスとして取り出す仕組みで、英国が開発した。1963年に発電を開始したイタリアで最も古い原発でもある。しかし、チェルノブイリ事故後の1987年12月に停止していた。

 

ローマに近いラティーノ原発
ローマに近いラティーノ原発

 

  同原発を含め、イタリアに残る4つの原発はすべて停止されている。その後、エミリア・ロマーニャ州にあるカオルソ原発は2012年8月に、南イタリアのカンパニア州のガリリアーノ原発は同9月に、それぞれ政府の廃炉許可が出て、すでに作業が進行中。ラティーナ原発については、稼働停止後これまで、正式な廃炉決定に向けて、ダクトの一部の解体撤去や、沈殿池のクリーンナップ、海岸の堰堤の撤去等の周辺作業は行われてきた。

 

 今回正式な廃炉許可を受けて、作業は他の3原発と同様、国営の放射性廃棄物管理・廃棄・廃炉企業の「Societa Gestione Impianti Nucleari SpA (Sogin)」が担当する。経済開発省は独立機関である原子力安全放射線保護検査機関「National Inspectorate for Nuclear Safety and Radiation Protection (ISIN)」や他の関連機関との調整を踏まえ、「イタリア最後の原発」の廃炉指示を出した。

 

 廃炉許可は第一段階の処理を認めるもの。同原発にある6つの蒸気ボイラーを解体するほか、原子炉建屋の高さを縮小する作業等が含まれる。ボイラーは総重量3600㌧に達する。原子炉建屋の縮小は廃炉作業を容易にするためで、53mの高さを38mに低くする。他の建物や補助的システムの解体も進める。

 

原発の建屋の中はすでに物置小屋のようになっている
原発の建屋の中はすでにかなり片付けられている

 

 2027年の第一段階の終了時点までに、廃炉作業で発生するすべての放射性廃棄物や建物部材、プラントの構造物・部品に至るまで敷地内で安全に管理する。これらの放射性廃棄物等は新たに建設する貯蔵施設等に保管される。費用は第一段階だけで2億7000万ユーロ(約320億円)を見込む。

 

 その後、廃炉作業は第二段階と最終段階へと進み、2042年にすべてを完了する。その後、廃棄物を撤去した旧原発サイトは、地域コミュニティへ、再利用のために戻される予定。

 

 SoginのCEO、Emanuele Fontani氏は「ラティーノの核燃料製造工場の解体を含め、すべての原発の廃炉作業の許可を得たことを嬉しく思う。これは、我が国の核サイクルの終焉という重要なステップを意味する。『原発解体』という困難な作業に関わった多くの関係機関の有益な協力によってたどり着いた」と語っている。日本でも、そうしたコメントを聞ける日が早くくればいいのだが。

 

https://world-nuclear-news.org/Articles/Dismantling-of-Italys-Latina-plant-to-begin