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米ホルステック・インターナショナル社、日本の原発敷地内に滞留する使用済み核燃料廃棄物の保管用システム販売へ。日立GEニュークリア・エナジー社と覚書締結(RIEF)

2020-11-06 23:08:47

Holtec001キャプチャ

 

 米エネルギーソリューション企業のホルテック・インターナショナル社が、日本の原子力発電所で滞留している使用済み核燃料廃棄物を保管するための乾式貯蔵システムの販売強化に乗り出した。六ヶ所再処理工場等の完成が遅れ続けていることから、再稼働した原発も使用済燃料を搬出することができず、敷地内の燃料プール等で一時保管をする状態が続いている。

 

 ホルテック社は、日立GEニュークリア・エナジー社と協力覚書を結び、同社が開発した使用済燃料乾式貯蔵システム「HI-STORM UMAX」を、原発を抱える日本の各電力会社に向けに販売・建設を目指す。同社の乾式貯蔵システムは耐力を強化したキャニスター(容器)をステンレス構造物の中に納めたうえで、コンクリート製の容器で覆い、地下施設に垂直に貯蔵する仕組み。すでに米国内の2原発で活用されているという。

 

 現在、日本各地の原発は稼働停止のところが多い。これまでに使用した核燃料廃棄物は本来、青森県六ケ所村の再処理工場や、むつ市の中間貯蔵施設に持ち込む予定になっている。しかし、処理工場等の建設が遅れており、使用済核燃料の大半は発電所敷地内の燃料プール内で一時保管したり、一部は従来型の乾式貯蔵等で原発内にとどまっている。

 

 こうした「一時保管」の長期化は、地震等の発生に対して課題となっている。特に、東京電力福島第一原発事故以降、より安全な乾式貯蔵システムへの移行が求められている。特に、日本での使用済み核燃料の貯蔵施設は、頻繁な地震に対応できるよう、原子力委員会が定めた高い耐震レベル等を満たす必要がある。

 

 ホルテック社が今回、日立GEとの覚書締結で日本市場への売り込みをするために特別に開発した同社のHI-STORM UMAX(Universal Maximum shielding )システムは、水平方向に2.12g、垂直方向に1.0g の同時垂直地震荷重に耐えられる構造。人類史上、過去に発生した最大の地震にも耐えられるという。

 

 同社はパートナーの日立GEは、使用済核燃料の管理分野で高い知見と専門知識を有しており、ホルテック社の技術・製品と、日立GEの経験・知見によって、安全で最適な貯蔵システムを提供できるとしている。同社製の金属製キャスクについては9月に、日本の基準への適合認可を得ている。

 

 同社の国際プロジェクト担当のR.スプリングマン(Rick Springman)上級副社長は、「今回の日立GEとの覚書締結を通じて日本の規制条件に取組み、厳しい貯蔵要件に解決策を見いだせるよう、両社の持つ専門的知見を合わせた相乗効果が生まれることを期待する」と述べている。

 

 ホルテック社は、HI-STORM UMAXは、地震対応が万全であるほか、火災や巨大なコンクリート構造物の飛来からも使用済燃料のキャニスターを防護でき、津波に対する抵抗力も十分あると強調している。

 

 同社は2017年に米原子力規制委員会から認可を得た HI-STAR 190MLのほか、ウクライナの9つの原発からの使用済み核燃料保管用に190MLを改造したHI-STAR 190を提供している。

https://holtecinternational.com/2020/11/02/holtec-international-and-hitachi-ge-nuclear-energy-enter-into-an-mou-for-dry-storage-of-used-fuel-in-japan/