HOME13 原発 |福島沖で、基準を5倍上回る放射性セシウム500ベクレルの魚検出。2年ぶりの基準超過。封鎖されているはずの福島第一原発港から逃げたか。汚染水放出決定の前に汚染魚対策の徹底必要(各紙) |

福島沖で、基準を5倍上回る放射性セシウム500ベクレルの魚検出。2年ぶりの基準超過。封鎖されているはずの福島第一原発港から逃げたか。汚染水放出決定の前に汚染魚対策の徹底必要(各紙)

2021-02-24 22:10:10

kuroisoキャプチャ

 福島県沖で地元漁連が試験的に行っている漁で、水揚げされたクロソイから、放射性セシウムの濃度が国の食品基準である1kg当たり100ベクレルを5倍も上回る500ベクレルが検出されたことがわかった。福島沖で、基準超過の魚が検出されたのは、およそ2年ぶりで、去年2月にはすべての魚種で出荷制限が解除されている。

 NHK等の報道によると、22日に福島県漁連が福島県沖の新地町の沖合8.8km、水深24mの漁場で漁獲したクロソイから大幅な基準超過のセシウムが検出された。同漁連ではこの魚の出荷を停止した。



 福島県水産海洋研究所で詳しく測定した結果、放射性セシウムの濃度は、1kg当たり500ベクレルに達したという。県漁連は国の食品基準より厳しい1kg当たり50ベクレルの自主基準を設定している。これらの基準を大きく超えたことから、県漁連は安全性が確認できるまで、今回の漁獲したものは当然だが、それ以外のクロソイの出荷も停止を決めた。



 クロソイの水揚げ量は去年1年間で3㌧と、福島県沖で行われている試験的な漁全体の水揚げの1%未満にとどまっている。福島沖の水産物から国の基準を超える放射性物質が検出された事例は、2019年2月に、エイの仲間の魚コモンカスベから100ベクレル以上が検出されて以来。

 県水産海洋研究センターは、魚介類の放射性物質の濃度から検出される値は原発事故直後に比べて大幅に低下しているとしている。昨年1年間で検査した4261検体では、国の基準を超えたものはなく、99.9%が検査装置で検出可能な限界値を下回った。
クロソイも50検体を調べたが、すべて検出限界以下だったという。


 ただ、東京電力が福島第一原発の港湾内で、一昨年に調査したクロソイからは、約900ベクレルの放射性物質を検出したとされる。港湾の出入り口には、魚の出入りを防ぐ網を設置しているが、県水産海洋研究センターは「何かしらの理由でクロソイが外に出た可能性もある」とみて原因を調べているという。



 福島第一原発事故からまもなく満10年を迎える。政府と東電が放射性汚染水貯蔵タンクの貯蔵限界が近いとして、汚染水の海洋放出を目指す中、クロソイが「海洋汚染の継続」を人間たちに伝えるために、捕まって見せたのかもしれない。

 仮に、汚染度の強い港湾から逃げ出したとすれば、魚の出入りを防ぐ網が機能していないことになり、捕まったクロソイ以外にも湾外に汚染魚が出ている可能性がある。人為による汚染分離が不十分な状態が続いているとすれば、汚染水放出問題を議論する前に、コントロールできていない汚染魚問題を再検討する必要があるということだろう。