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原子力規制委、東京電力の柏崎刈羽原発について「運転禁止」命令発動を決定。テロ対策の不備続出。ガバナンスが効かない。原子炉規正法違反(各紙)

2021-03-25 12:44:57

kashiwazakiキャプチャ

 

  各紙の報道によると、原子力規制委員会は24日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)でテロ対策の不備が相次いで発覚した問題で、原子炉等規制法違反があったとして、東電に対して同法に基づく是正措置命令を出すことを決めた。

 

 東電が核物質防護の姿勢を自主的に改善できる状態になったと規制委が判断できるまで、原子炉に核燃料を入れることなどはできなくなり、事実上、同原発は運転禁止状態となる。10年前に福島第一原発で事故を起こした東電のガバナンスが一向に改善されていないことを、規制委も認めざるを得なかったといえる。

 

 規制委は、書面などで東電の弁明を聞いた上で正式な命令を出す方針で、命令は1年以上続く見通しとしている。是正措置命令の発令は、福島第一原発事故後、同委が2012年に発足して以来、2件目。2013年5月に、日本原子力研究機構が福島県の高速増殖原型炉もんじゅにおいて、大量の機器の点検漏れが発覚し、同機構に無期限の運転停止を命じている。もんじゅはその後、廃炉になった。

 

 規制委の更田豊志委員長は24日の定例会で、東電の核物質防護の姿勢が「問われているのは核物質防護に対する東電の姿勢だ。それが十全なものか確認しきれていない。東電には柏崎刈羽で燃料を移動させる資格がない。核物質防護をきちんとやるために、さらなる強化策を加える。規制委の発足以来、最も大きな判断だ」と語った。

 

 柏崎刈羽では昨年3月以降、15カ所で不正侵入を検知する設備が故障し、うち10カ所で30日以上検知できない状態が継続していた。昨年9月には社員が他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室したことも発覚していた。規制委は今月、安全確保への影響が4段階で最悪の「赤」と評価した。

 

 規制委は23日に非公式に開いた会合で、第三者の評価も受けた報告書を9月23日までに出すよう東電に指示し、のべ約2000時間の追加検査で根本原因などを調べることを決めていた。追加検査は「早く進んでも1年以上かかる」(更田委員長)としている。

 

 規制委は今回の命令を、少なくとも追加検査が完了するまで続け、その後も、核物質防護について東電が自主的な取り組みで改善が見込める状態になったと判断するまで解除しない方針。追加検査で新たに重大な問題が見つかった場合には、原子炉設置許可の取り消しなど、さらに重い処分も検討する。

 

 東電は柏崎刈羽の6、7号機の早期稼働を経営再建の柱と位置付けてきたが、今回の不祥事発生と、それを確認できない杜撰なガバナンス体制の露呈によって、計画の見直しは避けられない情勢になった。

https://www.nsr.go.jp/data/000346911.pdf

https://www.tepco.co.jp/press/release/2021/1588026_8711.html