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日本の高レベル放射性廃棄物をカナダで処分計画。日本の関係者らが打診。地元州政府は拒否の構え。日本国内の最終処分場確保の困難さを反映か(各紙)

2021-04-07 12:56:38

kakugomi001キャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本の原発から排出される高レベルの放射性廃棄物「核のゴミ」を、カナダ東部の最終処分場候補地に受け入れる計画が、水面下で進んでいたことがわかった。カナダ公共放送(CBC)が計画の存在を示すメールを入手したという。計画に加わったクレティエン元首相は計画を認めたが、地元自治体が拒否し、実現の可能性はないとしているという。

 

 (写真は、高レベル放射性廃棄物の保管センター=青森県六ケ所村:共同通信)

 

 東京新聞が伝えた。それによると、CBCの報道として、クレティエン氏らは、高濃度放射性廃棄物を地中深くに埋設する「地層処分」の最終処理場を、カナダ東海岸のニューファンドランド・ラヅラドル州に計画していた。2019年夏から20年にかけて、カナダの企業経営者のほか日本の広告代理店、原子力業界関係者、米国の元原発政策担当者らとの間で、メールベースでのやり取りをし、その中で、国内の原発だけでなく、日本を含む海外からの核廃棄物受け入れを打診したという。

 

 クレティエン氏は、1993年から10年間、カナダ首相を務めた人物。同計画に参画するカナダ企業の弁護士として関わったという。2020年4月には、カナダで関係者が一堂に会して議論する与点だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止された。

 

 クレティエン氏はCBCの取材に対して「われわれは(核燃料の原材料となる)ウランを(日本等に)売ったのだから、買った国が直面する問題の手助けをするべきだ」と話し、計画の存在を認めた。これに対して、地元のフューリー州首相は、20年にクレティエン氏から計画の概要を聞いたが、断ったと説明している。同首相は計画の実現可能性については「ゼロだ」と語った。

 

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場をめぐっては、安全性や環境への懸念が強く、世界中でもフィンランドの「オンカロ」を除いて建設されていない。カナダでは2023年までに処分地の選定を終える予定だが、ラブラドル州は候補地には入っていなかった。日本では北海道の寿都町と神恵内村で最長20年程度の調査が始まっているが、地元の反対運動もあり、建設のめどは立っていない。

https://www.tokyo-np.co.jp/n/world?ref=gnb_pc_lv1