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東京電力福島原発の汚染水タンクは 本来、土木用の製品 放射能汚染水には不適 製造元は東京機材工業(世界の貯蔵タンク事故情報)

2013-09-11 17:22:45

底部から汚染水が漏れるということは、全部、漏れる?
 

底部から汚染水が漏れるということは、全部、漏れる?
底部から汚染水が漏れるということは、全部、漏れる?


東京電力福島原発で使用されている「地上タンク」には、以前から既設設備として供用されている一般的な「溶接構造式円筒型タンク」のほか、事故後に導入された「組立式円筒型タンク」および「枕型タンク」がある。「組立て式円筒型タンク」は汚染水や真水の保管用として、枕型タンクは容量100㎥で高レベル廃棄物用として製作されたものである。
 

 福島原発に組立式円筒型タンクを納入した東京機材工業のホームページによると、同社は組立式円筒型タンクのほか角型タンクも納入しているという。事故後に製作された地上タンクは、現在、950基を超えているが、そのうち組立式円筒型タンクは350基以上という。fukushimatank21Baidu IME_2013-8-25_9-34-47_NEW

 

 

組立式円筒型タンクは、もともと、土木工事用の仮設の水タンクに用いる目的で製作されたもので、接続部にパッキン(ガスケット)を使用しており、水密性能に限界があり、パッキン寿命は5年といわれる。東京機材工業は、今回の東京電力の放射能汚染水貯留用に大型化したものの技術革新性を売りにしている。

 

 

 しかし、東京電力は、2012年2月3日、組立式円筒型タンクを採用した淡水化装置濃縮水貯槽の側板接続部から漏れがあったことを公表している。今回の事故後の記者会見では、このほかに4件の漏れ事例があったという。この組立式円筒型タンクについては、地下貯水槽漏れ事故前の2013年3月12日に東京新聞の記事(耐久性より増設優先、福島第一、急増タンク群3年後破綻」を引用する形で、「汚染水タンクの手抜きが判明! 溶接をしなかったため、耐久性が減少!3年後には大改修必至」という問題提起のブログが出されていることは以前のブログの補足で紹介した。

 

 

■ 今回の漏れは、組立式円筒型タンクの底板部からである。タンク構造図によると、タンク底板は5枚の部材に分割され、側板と同様にボルトによる締結構造になっている。このためか、タンク構造図の仕様によると、底板の鋼板厚さは16mmと通常より厚い構造となっている。(注;危険物貯蔵タンクの底板の場合、法令による最小厚さは、タンクの容量が1,000KL~10,000KLで9mm、10,000KL以上で12mmである) 

 

 

この締結構造の場合、据付時の漏れ試験について側板は目視検査ができるが、底板は下部から水が染み出てこないことを確認するのみである。また、底板の締結部から微小漏れがあっても、側板の締結部でできる増し締めができない。 

 

 

■ タンクの使用期間は2年弱であり、底板の厚さを考慮すると、内面腐食あるいは外面腐食(基礎側)による開口は考えにくい。従って、底板溶接部の製作時の欠陥を起点とした割れの貫通か、上記に示すように底板締結部のすきま発生による漏れだと思われる。福島第1原発に採用した組立式円筒型タンクで側板部の漏れがすでに5件発生している状況をみると、底板の締結部からの漏れの可能性が高い。

 

 

■ 8月24日になって、漏洩のあったタンクについて建設時の水張試験中に地盤沈下があり、移設した経歴のあったことが発表された。元請会社から基礎部沈下によるタンクへの影響が無いとの報告を受けたことなど責任回避的な印象をもつ。

 

 

■ 一般に工場製作の溶接部は健全性が高いとされるが、組立式円筒型タンクの底板部は鋼板を格子状に配置して溶接し、さらに締結用のリム部を溶接するので、溶接欠陥が形成しやすい構造だといえる。溶接技術(溶接士の技量)と品質管理に配慮しなければならない。このように内部欠陥が存在していた場合、水張り試験中の地盤沈下は欠陥のキズを進展させた可能性はある。

 

 

 

しかし、タンクは大なり小なり地盤沈下の影響を受けるものであり、底板に締結部のある組立式円筒型タンクは、漏れの許されない放射能汚染水の貯留用としては適当でなく、土木用の水貯留に限定すべきだといわざるをえない。この点、土木用の地下貯水槽を放射能汚染水の貯留用に採用し、漏れが発生して破綻したケースと同じである。  

 

 

東京機材工業のサイト:http://www.t-kizai.co.jp/index.html