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「福島は緊急事態が続いている」「国内原発全て廃炉に」 渡部恒三氏が訴え(河北新報)

2014-08-25 13:03:17

河北新報社のインタビューに応じる渡部氏=24日、会津若松市内
河北新報社のインタビューに応じる渡部氏=24日、会津若松市内
河北新報社のインタビューに応じる渡部氏=24日、会津若松市内


元民主党最高顧問で、元衆院副議長の渡部恒三氏(82)が24日、会津若松市の自宅で河北新報社の単独インタビューに応じた。

任期満了に伴う福島県知事選(10月9日告示、26日投開票)について「福島は緊急事態が続いている」と述べ、与野党が一致結束するよう呼び掛けた。福島第1原発事故を受け、「国内の原発を全てやめるべきだ」と主張し、脱原発の立場を鮮明にした。

 

渡部氏の元秘書で、おいの佐藤雄平知事(66)は3選に向け立候補するか進退を明らかにしていない。渡部氏は「知事の進退についてはノーコメント」と言及を避けたが、福島県が今も緊急事態にある現実を踏まえ、「党利党略ではなく、県民本位の知事を選ぶべきだ」と持論を述べた。

 

通産相を務めるなど、原発推進の立場にあった渡部氏は「こんな災害になるなんて夢にも思わなかった」と安全神話を信じ切っていた半生を振り返った。さらに「古里を失った県民の苦労や(放射性物質が)空気まで汚すことを思うと、原発は全て廃炉にし、再生可能エネルギーを推進するのがわれわれ国民の責務だ」と述べた。

 

福島第1、第2原発が四半世紀以上にわたり首都圏に電力を供給してきたと強調した上で「原発事故の責任は100%国にある。『福島の復興なくして日本の復興なし』という立場で、国は最後まで被災者支援に全力を挙げるべきだ」と訴えた。

◎一問一答/福島知事選、与野党一致を

元民主党最高顧問で、元衆院副議長の渡部恒三氏(82)は河北新報社のインタビューに対し、任期満了に伴う福島県知事選や原発政策などについて持論を述べた。(聞き手は福島総局・桐生薫子)

 

-渡部氏を師と仰ぐ佐藤雄平知事(66)が3選立候補するかどうかが最大の焦点となっている。

 

「知事の進退につながることは言えない。出ろとも出るなとも言わない。出処進退は政治家にとって最も大事。『出る時はできるだけ多くの人に相談し、ひく時は自ら決する』が持論だ」

 

-知事の事故対応への評価は。

 

「孤独だったはずだ。前例のない災害で厳しかっただろう。私が仮に知事だったら命を懸けていた。困難な局面はつらいものだが、政治家としてこれほどのやりがいはない」

 

-昨年は郡山、いわき、福島の3市長選で現職が相次ぎ敗れた。

 

「現職落選ドミノ現象と言われたが、そうした空気はもうないと思う」

 

-自民党県連は3月、佐藤氏の面前で独自候補の擁立を宣言した。

 

「自民党県連は超党派で臨むべきだった。福島は緊急事態が続いており、政党が争っている場合ではない。党利党略ではなく、県民本位で知事を選ぶべきだ。自民党本部も与野党が一致団結できる候補を望んでいる」

 
-福島のリーダーに求めるものは。

 

「災い転じて福となす。復旧ではなく、復興させなければならない。10年後、20年後、福島はこんなに良くなったと言われるようにしなければならない。200万県民の中からふさわしい人を選ぶべきだ」

 

-民主党政権時代の事故対応に批判がある。

 

「千年に1度の大津波と初の原発事故という二重の苦難が福島を襲った。役人は先例と法律がないと動かない。民主党は官僚を敵視し、使いこなせなかった。初動が遅れたのはこうした理由からだ」

 

-原発に関する考えは。

 

「福島の原発が半世紀近く京浜工業地帯のエネルギーを支えてきた事実を忘れてはいけない。だが、原発はもう駄目だ。全て廃止すべきだ。原発が稼働していない今も電気は足りている」

 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140825_61008.html