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東電福島原発のPR看板 「事故を忘れない遺構として永久保存を」 標語考案の男性が6502人分の書名を双葉町長に提出(各紙)

2015-06-08 22:33:26

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各紙の報道によると、東京電力福島第一原発がある福島県双葉町が、27年前の1988 年に設置した原発推進の標語を記した看板の保存運動で、6502人分の署名が集まり、標語を考案した男性が、福島県いわき市の双葉町仮庁舎で8日、伊沢史朗町長に書名を手渡した。

 

 標語は「原子力明るい未来のエネルギー」との標語。小学校時代に、双葉町在住の大沼勇治さん(現在39歳)が考案して応募、当選した。その後、標語は、町の中心部のゲート前に「原発と共存する双葉町」のシンボルとして表示されてきた。

町長に署名を手渡す大沼さん
町長に署名を手渡す大沼さん

 

 原発事故で「明るい未来」が吹き飛び、福島の住民にとっては、未来は全く見えなくなっているのが現状といえる。反語的な意味を持ってしまった看板だが、どこやらナチスのアウシュビッツ収容所に今も掲げられている「働けば自由になる」の看板をも思いださせる。ともに人間の傲慢さを象徴しているといえる。

 

 ところが 双葉町は原発事故でほぼ全域が帰還困難区域となってしまった。このため、看板は野ざらしのままで修理もされず、取り付け金具が腐食するなど劣化が進んでいる。そこで町は「落下の危険がある」として、いったん撤去を計画した。

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 この話を聞いた大沼さんは茨城県に避難していたが、妻と2人で署名活動を開始し、各地の脱原発集会などで保存のための署名を集めてきた。署名者の中には菅直人元首相も含まれているという。その後、双葉町は今年3月の町議会で「撤去して保存を検討する」として撤去費用の予算案を可決した。

 

 署名を受け取った伊沢町長は「現場保存がいいのか、撤去がいいのか、大局的に判断したい」と計画を白紙に戻し、撤去の是非を再考する考えを示した。大沼さんは「日本全体の問題として、あの場所に残すことで過去の過ちを未来に伝えるべきだ」と話している。