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東電福島第一原発事故で帰還困難区域の山林 モミの木に異常が多発 モミの木に放射能は残った(各紙)

2015-08-30 15:12:18

momiキャプチャ

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域となっている福島県下の山林で、モミの木に放射能の影響を示唆する異常が多数発生していることがわかった。

 

 調査は放射線医学総合研究所(千葉市)などの研究グループが、環境省の依頼を受けて実施した。調査対象地域は、福島県大熊町と浪江町の山林、それに茨城県北茨木市の山林も比較のため調べた。

 

   その結果、山林に自生するモミの木で、幹が伸びない形態の異常が、特に福島県の2町の山林で目立って起きていることがわかった。調査結果は、28日付の英科学誌電子版に発表した。

 

 原発事故後の自然環境に及ぼす影響は、これまでも個別の研究発表では報告されているが、環境省が約80種類の野生動植物を対象に実施している放射線影響調査で、実際に影響がうかがわれる事例が確認されたのは、今回が初めてとしている。

 

研究グループは今年1月、大熊町と浪江町の計3ヵ所と、茨城県北茨城市の1か所を対象に、地区ごとに100~200本程度を調査した。その結果、事故地から離れているため空間放射線量が相対的に低い北茨木市では異常が約6%だったのに比べ、大熊町では約98%、浪江町では約44%~約27%だった。

 

 モミの幹や枝は毎年春から夏にかけて成長するが、事故翌年の2010年から13年に成長した部分で、幹が伸びない異常が多く発生しrていた。

 

研究グループの吉田聡・放医研企画部長(放射性生態学)は「形態異常は放射線以外の環境要因でも発生するが、針葉樹の感受性が高いことを踏まえると、今回の調査結果は放射線が原因の一つである可能性を示している」としている。

 

 研究グループでは、今後、モミが事故後に受けた被ばく線量を正確に見積もるほか、実験施設内でモミに放射線を照射するなどの確認作業を実施し、放射線とモミの成長異常との因果関係を調べる方針。

 

http://www.47news.jp/CN/201508/CN2015082801002062.html