HOME13 原発 |福島原発の汚染水また外洋流出、今月4回目。除染袋流出は栃木にも広がり、判明分だけで合計700袋強。「豪雨による流出」と不可抗力説を強調する日本政府に、海外は眉をひそめて見つめている(RIEF) |

福島原発の汚染水また外洋流出、今月4回目。除染袋流出は栃木にも広がり、判明分だけで合計700袋強。「豪雨による流出」と不可抗力説を強調する日本政府に、海外は眉をひそめて見つめている(RIEF)

2015-09-19 00:07:33

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  東京電力福島第一原発で17日から18日にかけて、再び、建屋周辺の排水溝から放射能汚染水が堰を越えて外洋に流出した。4月以降、9回目。また野積みされた汚染廃棄物の除染袋の流出は、福島だけでなく、栃木でも発見され、流出総数は700袋を超えた。

 

 排水溝からの汚染水の外洋流出も、汚染袋の流出も、豪雨時には予想される現象だ。だが、国も東電も、そうした事態への事前の備えを十分にとらず、むしろ雨の勢いで汚染物質が流れ去るのに、任せたような対応にもみえる。

 

 汚染袋の保管場所を河川や海岸の近くに設置していることに対する懸念は以前から出ていた。国や県がそうした保管体制に対して指導したとの報道はなかった。汚染水の再三の外洋流出、除染袋の大量流出といった事態が続くことが、福島周辺の漁業への不信感を高めているとの認識は持たないのだろうか。「国と東電」が風評を助長している。

 

 東電によると、福島第一原発では、17日深夜から翌未明にかけ1時間当たり10mm前後の雨が集中して降った。このため排水溝の出口付近で増水した汚染水を、8台のポンプでくみ上げ、専用港につながる別の溝に流し込む作業を続けた。しかし東電がポンプを増強、増設していない状態が続いているため、17日午後11時20分ごろから翌18日午前2時すぎまでの間、3回にわたり堰を越えて外洋にあふれ出た。

 

 汚染水の外洋流出は4月以降9回目で、今月だけで4回目。東電によると流出量は今回も、不明という。

 

 流出した汚染水の放射能濃度は、大雨の際には、敷地の汚れた土砂も交じり、溝を流れる水の放射性セシウムなどの濃度は1㍑当たり数百ベクレルまで上昇、放出基準を数倍上回った汚染水が外洋に流れていることになる。

 

 東電は排水溝を専用港に接続する付け替え工事を進めているが、完成するのは来年3月ごろとしている。それまでは豪雨のたびに、福島県の周辺海域に放射能汚染水が流れ出ることになる。福島産の魚類に対する消費者の不安も続く。

 

 一方、東日本での豪雨の影響で、福島県飯舘村で保管されていた除染廃棄物を詰めた除染袋が近くの川に流出した問題で、当初、80数袋とみられていた流出数が395袋(合計395㎥)に上ることがわかった。さらに、栃木県日光市でも334袋が流出していたことも新たに判明した。合計すると700袋を上回る。



 飯館村の流出分のうち、314袋は発見した。そのうち151袋の中身は空で流出していた。また残り81袋はまだ見つかっておらず、中味の流出の懸念もある。

 

 日光市では市中部を流れる小百側の護岸が削られ、川沿いの公園に保管していた除染袋558袋のうち、334袋が流出していた。これらは2013年度に除染した際、公園に穴を掘って保管していたが、豪雨で流れ出たという。17日現在で、回収したのは14袋だけで、いずれも空だった。


 また同市内の別の保管場所でも、駐車場ののり面が崩落し、除染袋132袋のうち、少なくとも7袋ががけ下に落下した。中味が流出したかは不明。

 

 望月環境相は「除染袋の中味の多くは最近刈られた草木で放射線量は低いため、周辺環境に影響を与える可能性は低い」と説明している。しかし、汚染基準を上回るか、あるいは、周辺に比べて相当に高いことから、除染作業を実施したはず。さらに放射能濃度が高いので、そのまま廃棄できず、保管していた。したがって、「影響は低い」とは言えないのではないか。影響が低いのなら、除染する必要もないことになる。

 

  環境省は全保管場所の管理状況を調べ、崩落や流出のリスクのある場所については、早急に改善するなり、保管場所の移動なりの指示を出すべきだろう。環境への影響を未然に防ぐのが、環境省の仕事なのだから。