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原子力規制庁 旧保安院等の過去HPデータ、一斉に削除。国民に通知なし。東京新聞が指摘(各紙)

2015-10-12 23:32:32

kiseiiキャプチャ

 原子力事業の安全確保のため規制を担当する原子力規制委員会の事務局である原子力規制委員会が、前身の旧原子力安全・保安院や、旧内閣府原子力安全委員会の過去HPを、委員会のHPからすべて削除したことがわかった。

 

 東京新聞が10月12日付で指摘した。同紙の報道によると、規制庁は、発足から丸3年となる9月19日の前日に、過去組織のHPを一斉に削除した。削除したHPには、旧保安院などの安全規制や防災の基準、各種審査に関する会議録、配布資料、福島原発事故時の記録などが掲載されていた。

 

 東京新聞は「安全神話にまみれていたころの規制状況や混乱ばかりだった事故対応、それぞれの局面の担当者の名などが記録された資料が消されてしまった」と問題指摘している。

 

 同紙の指摘に対して、規制庁広報室は「サーバーの容量に限りがあって削除した」と、過去HPへのアクセスを意図的に遮断するつもりではなく、機械的な処理だったとの旨を回答したという。

 

 しかし、福島事故の前と後を知るうえで、旧保安院などの「失敗」を示すデータは、再発防止を進めるうえで、今も必要な「教訓」情報である。また各地で進む原発再稼働の是非を地域市民が判断するうえでも、大いに参考になるものだ。

 

 さらに、福島事故で被害を受けた人たちにとって、国側の不作為が記録されている可能性のある公的資料は、責任追及や賠償請求をするうえで貴重な材料でもあった。

 

 当初、規制庁は、旧保安院などのHPを削除したことについて、規制委のHP上では何ら明記しなかったという。この点に気付いた東京新聞の指摘を受けた後、修正を加えて、国立国会図書館等へのアクセスでHPの閲覧が可能なことを記載している。

 

 同紙はNPO法人「情報公開倉イアリングハウス』理事長の三木由希子氏の次のような発言を紹介している。

 「信頼確保が必要な組織なのに、何をすると不信感を抱かせることになるのか、想像力を働かせることができていない」

 「国会図書館の専用サイトで、いつまで旧保安院などのHPが閲覧できるのか。コストの観点からサイトを維持できない状況が生まれることもあり得る。結局は図書館に割り当てられる予算次第」

 

 また同記事では、規制委員会設置法では、規制委と規制庁の独立性を保つため、規制庁に原発利用サイドの元の官庁から移籍した官僚が、出身省庁に戻ることを禁じる「ノーリターン・ルール」を明記しているが、同ルールがすでに骨抜きになっていることを指摘している。

 

 霞が関の官僚の間では、「東電福島事故」への対応は、すでに過去のこととして扱われているようだ。福島原発の廃炉見通しが全く立たない状況が続いているにもかかわらずだ。

https://www.nsr.go.jp/nra/archive/index.html