米電力エンタジー社 東部州のピルグリム原発閉鎖へ シェールガス普及など経済的理由で採算合わず(各紙) 日本の「原発は経済的に優位」論に根拠はあるのか
2015-10-14 16:15:40
米電力大手エンタジーは13日、米東部マサチューセッツ州プリマスにあるピルグリム原発(出力68万kW)の稼働を2019年6月1日までに停止し、閉鎖すると発表した。
同社は閉鎖の理由について、①電力市場環境の悪化②収入の減少③操業コストの増加、の3点をあげている。同社はすでに、地域の電力システム運営主体のISO New Englandに通知した。正式な稼動停止は、地域内での電力需給を調整した後、2016年上半期に決定される。
同社が閉鎖理由としてあげている理由はすべて、経済的理由だ。米国エネルギー市場ではシェールガスの普及で、原発による発電はコスト高の構造が続いている。シェールガス発電との競争で、市場の電力価格はMW時当たり10㌦低下し、ピルグリム原発は年間4000億㌦の損失を計上しているという。
またマサチューセッツ州は再生可能エネルギー発電に補助金を投入するなどの形で力を入れており、その分、原発や旧来型の火力発電の価格競争力は低下している。さらに、日本の東電福島原発事故の影響による安全確保投資の増加も、操業に重荷となった。
同原発は1972年に運転を開始。近年は2013年2月に米東部を襲った猛吹雪に伴う停電で運転を停止するなど、トラブルが相次いでいた。