東電福島原発事故で 「原発さえなければ」との書置きを残して自殺した酪農家遺族。東電と和解、数千万円支払い(各紙)
2015-12-01 18:18:19
東京電力福島第一原発事故の影響で、将来を悲観して自殺した相馬市の酪農家、菅野重清さん=当時(54)=の妻ら遺族が東電に対して約1億2800万円の損害賠償を求めていた訴訟で、和解が成立した。
東電を訴えていたのは、菅野さんの妻、バネッサ・アボルドさん(37)と息子ら遺族。菅野さんは乳牛約40頭を飼育する牧場を経営していたが、事故後、放射性物質の影響で原乳の出荷を停止し、飼っていた乳牛の大半を手放さざるを得なかった。
その後、フィリピン国籍のバネッサさんが子どもたちと一時帰国中の2011年6月10日、牧場内の小屋で自殺しているのを発見された。牧場建物の壁には、「原発さえなければと思います。仕事をする気力をなくしました」と書き残した。福島での悲劇の象徴的なケースとして人々の記憶に残った。
バネッサさんらは、2013年3月に東電を相手に、訴訟を提訴、2年半以上、争ってきたが、今月1日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立した。
弁護団によると、東電が遺族に和解金を支払うとの内容。詳しい額は開示しないことになっているが、数千万円とみられる。
東電は訴訟について「菅野さんが亡くなられたことについて心よりご冥福をお祈りします」とコメントした。