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東京電力柏崎刈羽原発 安全系信号ケーブルの不備2500本。通常操業時の体制と、非常時体制が混在。他の原発は?(RIEF) 

2016-01-31 12:39:32

kashiwazaki3キャプチャ

 

 東京電力は、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)で敷地内の安全確保にかかわる信号ケーブルが、1~7号機で合わせて2500本もの不備があったと発表した。

 

 原発では一つのトラブルが起きても他に波及しないように安全上の重要性性の高い設備(安全系)は複数設置し、かつトラブルが相互に影響しないよう区分管理する。こうした安全系の設備は安全度の低い常用系の設備と区分管理されている。

 

 安全系の信号ケーブルは、緊急時に原子炉を止める信号を送るなど安全上重要な役割を果たす。このため安全系のケーブル等が火災によって延焼を受けないように、他と分けて敷設しなければならない。

 

 ところが、東電が昨年9月に中央制御室床下を点検したところ、安全系の信号系ケーブルと常用系の信号ケーブルが混在していることが判明した。調査をした結果、ケーブルの混在は7基で1082本見つかった。

 

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さらに中央制御室床下以外の設備からも、1409本の混在が発見された。これらの原因は、常用ケーブルを敷設する作業の際に、それ以前から敷設されていた安全系のケーブルの存在を無視して敷設する作業が続いたためという。

 

 またそれ以外にも、設計図面から施工図面を作成する際の誤りが原因となって、ケーブルの混在した事例が2基で9本見つかった。これら合計で、間違った敷設されたケーブル数は2500本に達した。

 

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 このように膨大な数のケーブル敷設のミスが生じた背景として、東電は、設計・管理プロセスの不備、作業員の教育不足、継続的な検証体制の脆弱さ、の3点をあげている。

 

 東電福島原発事故後に定められた新規制基準では、地震や火災によって常用系設備に起きるトラブルが、安全系の信号ケーブルや配管等に波及しないかどうかを、国や電力会社が実施する検査で確認することが求めている。今回のケーブルの大量混在は、こうした基準に反したことになる。

 

 東電は、不備のあったケーブルのうち、6、7号機の中央制御室下については是正を完了、現在、他の混在箇所の是正作業を続けている。ただ、すべてのケーブルで対応を終える時期は未定としている。東電社員および協力会社の作業員への周知・教育を昨年末までに実施、今後も作業員の専門性向上を図るとしている。

 

 原子力規制委は、再稼働を認めた九州電力川内原発や関西電力高浜原発などでも同様のトラブルが生じていないかどうかの確認が必要だ。

 

http://www.tepco.co.jp/cc/press/2016/1266500_7738.html