HOME13 原発 |滋賀県高島市に放置されていた福島原発事故「汚染木くず」、同県はじめ、千葉、山梨など合計6県に搬出。現在は行方不明。 大津地検捜査資料で判明(各紙) |

滋賀県高島市に放置されていた福島原発事故「汚染木くず」、同県はじめ、千葉、山梨など合計6県に搬出。現在は行方不明。 大津地検捜査資料で判明(各紙)

2016-02-07 17:04:37

sigakikuzuキャプチャ

 

 各紙の報道によると、滋賀県高島市の鴨川河川敷に放射性セシウムに汚染された木クズが大量不法投棄された事件で、「汚染木くず」は滋賀以外に、千葉、山梨、鹿児島など少なくとも5県にも搬出されていたことが、わかった。

 

 京都市に住む市民団体の男性が昨年2月に大津地検に捜査資料の閲覧を請求した。当初、地検は不許可としたが、男性は大津地裁に準抗告をした。その結果、地裁は、昨年7月、搬出された自治体名を含めた閲覧を認め、地検に開示を命じる決定をした。

 

 これに対して地検は特別抗告。最高裁が昨年12月14日に「搬出先が特定され、風評被害などで経済損害が発生する恐れがある」として、地裁決定のうち、市町村名の開示などを取り消して閲覧を認めることとした。これを受けて、大津地検は5日付で捜査資料の部分開示を行った。

 

 こういう経緯を受けて開示された資料によると、福島県の製材業者から搬出された「汚染木くず」約5000㌧は、2012年12月~13年9月にかけて、合計12のルートを使って、滋賀のほか茨城、栃木、千葉、山梨、鹿児島の6県に運ばれたという。運搬には栃木、埼玉、千葉、山梨各県の業者も関係していた。搬出先市町村名や業者名は非公開扱いとなっている。

 

 別途、高島市で放棄された汚染木くずはその後、業者が群馬県前橋市に移送したことが滋賀県の公開文書で、わかっている。前橋市に移された木くずの量は約310㌧。しかし、前橋市でどのようになっているかは不明という。

 

 事件では東京都のコンサルタント会社社長が、滋賀県高島市に汚染木くずを持ち込んで不法投棄したとして、廃棄物処理法違反罪で14年12月に有罪判決(執行猶予付)を受けた。元社長の裁判の公判では、検察側が木くずが北関東や九州に運ばれて野ざらしになっていると指摘したが、具体的な場所は明らかにされていなかった。

 

 元社長は、搬出先の各地に対しては木くずの汚染については伝えず、「堆肥製造ため」などと虚偽の説明をしたという。

 

 裁判所が自治体名などを不開示としたことで、かえってこれら6県において全体的な風評被害が発生する懸念もある。また、風評だけでなく、実際に汚染木くずが不法投棄の状態で置かれているのを知らずに、接したりした場合、健康被害を発生するリスクもある。