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東電福島第一原発 汚染水防止の「凍土遮水壁」設置完了。しかし、汚染水漏えいリスク払しょくできず、規制委は稼働許可保留(各紙)

2016-02-11 01:56:18

toudokabeキャプチャ

 

  各紙によると、東京電力は9日、福島第一原発の汚染水対策として建設を進めてきた原子炉建屋を取り囲む「凍土遮水壁」工事が完了したと発表した。しかし、汚染水のコントロールが十分できるか不明として、原子力規制委員会の許可が得られておらず、「凍土」の機能稼働のメドは立っていない。

 

 東電によると、完成した遮水壁は、1~4号機の周囲1.5kmをt取り囲んで設置されている。壁には1568本の凍結管が打ち込まれており、零下30℃に冷やした液体を循環させて凍結管周辺の周りの土を凍らせて、地下に深さ30mの氷壁を造る。

 

 経済産業省の委員会が2013年5月に提案し、それを受けて東電が14年6月に着工。工事には約345億円の国費が投入された。現在は建屋への地下水の流入は1日約400㌧とされるが、凍土遮水壁が順調に稼働すると、建屋周辺に設けた井戸からの地下水汲み上げ対策と合わせて、1日約100㌧に減らせると期待されている。

 


 しかし規制委は、建屋を「氷壁」で囲んで地下水位が下がり過ぎると、建屋内にたまっている高濃度汚染水が逆に地中へ漏れ出してしまうリスクがあることを懸念している。こうした規制委の懸念に対して、東電側の地下水位コントロール手法などの説明が不十分だとして、運用開始に難色を示している。

 

 15年春から始まった試験凍結では、当初の予想以上に水位が下がる場所が出た。また地下水の流速や流れる向きなど未解明な部分も少なくない。さらに、いったん凍らせると溶けるまでに2カ月ほどかかり、稼働後に不具合が発生した場合でも、すぐに元に戻せない。これらの点も、規制委の懸念を払しょくできない要因だ。

 

 東電は「地下水の予測には限界がある」と認めながらも、水位が下がり過ぎた場合は、周辺の井戸から水を注入するなどの作業を行えば、汚染水の外部漏れを防げると主張しているという。

 

 規制委は昨年12月、凍土壁を部分凍結する手法を東電側に提案した。この場合、建屋全体を全面凍結するわけではないため、汚染水が漏れ出す恐れが減少する。これに対して東電側は全面凍結手法をとることを優先してきたが、規制委の許可が出ないと作業を進行できないため、広瀬直己社長は9日、規制委の田中委員長に対して「ご意見を踏まえ、しっかり(回答を)返していきたい」と話した。