HOME13 原発 |東電の勝俣元会長ら、29日に強制起訴へ 検察審査会が判断固める。福島原発事故の刑事責任の有無が法廷で問われる(各紙) |

東電の勝俣元会長ら、29日に強制起訴へ 検察審査会が判断固める。福島原発事故の刑事責任の有無が法廷で問われる(各紙)

2016-02-26 22:11:17

katsumataキャプチャ

 

   各紙の報道によると、東京電力福島第一原子力発電所事故の責任をめぐり、検察官役の指定弁護士は26日、東電の当時の会長だった勝俣恒久氏(75)ら事故当時の経営陣3人を業務上過失致死傷などの罪で29日に強制起訴する方針を明らかにした。

 

 強制起訴の対象となるのは、勝俣元会長のほか、武黒一郎元副社長(69)、武藤栄元副社長(65)の3人。東京地検は2013年9月、3人の起訴について「事故の予測は困難だった」として不起訴処分とした。これに対して検察審議会は翌14年7月に「起訴相当」と判断。東京地検は再捜査したものの、再び不起訴とした。その後検察審査会は再度審議し、昨年7月、起訴議決を公表した。検察審議会が2度にわたって「起訴相当」と議決すると、強制的に起訴される。

 

 昨年7月の審議会の判断によると、3人は、震災前の08年、政府の地震活動の長期評価に基づいて同原発周辺に最大15.7mの津波発生の可能性があると試算した内部の報告を受け、重大事故の可能性を予測できたにもかかわらず、防潮堤強化などの安全対策を怠った。

 

 「(原発事業者は)万が一にも発生する事故に備える責務があり、大津波による過酷事故の発生を予見できた。原発運転停止を含めた回避措置を講じるべきだった」などと責任の所在を指摘した。

 

 また、3人が事故を未然に防ぐ注意義務を怠った結果、福島県大熊町の双葉病院から避難した入院患者44人を死亡させたほか、第一原発でがれきに接触するなどした東電関係者と自衛隊員ら計13人を負傷させたと認定した。

 

 強制起訴によって、福島原発事故の刑事責任が初めて法廷で問われることになる。ただ、起訴に対して3人は、起訴内容を否認するとみられる。また争点を絞り込む公判前整理手続きに時間がかかり、初公判は来年以降にずれ込む可能性もある。これまで強制起訴となった案件は8件、被告10人だが、有罪( 1審)になったケースは2件にとどまっている。