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東電福島原発の「メルトダウン」過小評価問題 東電社長が国会で陳謝。林幹雄・経産相は原因究明について「東電に調べさせる」。ここでも“東電任せ”に終始(各紙)

2016-03-09 16:57:52

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 各紙の報道によると、8日の参院遊山委員会で、東京電力福島第一原発事故の直後に、核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」が発生していた事実を、東電が社内マニュアルがあるのに、公表しなかった問題が取り上げられた。

 

 民主党の風間直樹氏が質問した。同氏の質問に対して、参考人として出席した東電の広瀬直己社長は「炉心溶融の判定基準を記したマニュアルがあったのに、その通りにしていなかったのは事実だ。本当に申し訳なく思っている」と陳謝した。

 

 福島原発では1~3号の3基の原子炉で 「炉心溶融」が起きたが、東電が正式に認めたのは発生から2か月後の5月だった。これに対して、これまで東電は、「メルトダウンを判断する根拠がなかった」と対外的に説明してきた。

 

 これに対して、事故を検証している新潟県の技術委員会が東電に調査を申し入れ、東電側が調べ直したところ、当時の社内マニュアルに「炉心損傷割合が5%を超えると炉心溶融と判定する」ことが明記されていた。

 

広瀬直己東電社長
広瀬直己東電社長

 

 当時、事故発生から3日後の3月14日の段階で、燃料損傷は1号機で55%、3号機で30%と高率に達していた。マニュアル通りに判断すればこの段階でメルトダウンを判断、それに応じた対応、住民の避難等ができたはずだった。

 

 広瀬氏は「2011年3月14日の段階で、相当程度の炉心損傷をしているとの認識を持ち、すぐに報告している。この段階で隠蔽や報告の遅れは考えていなかった」と言い訳した。

 

林幹雄経産相
林幹雄経産相

 

 一方、電力会社を監督する立場にある経済産業省の林経産相は、「原発は立地地域の理解と、国民の信頼を得ることが重要だ。社内マニュアルに5年間も気づかなったのは極めて遺憾だ」と指摘。東電に対して、第三者も入った詳細な調査、福島、新潟両県をはじめ国民への丁寧な説明、再発防止策を求める、としたが、監督官庁としての責任については言及しなかった。

 

 東電が意図的に事故を過小評価しようとしたのか、という点は、今後の第三者調査にゆだねられるが、その調査自体を東電に任せることが適切なのか、なぜ監督官庁が直接調べないのか、といった新たな疑問が出ている。