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関電高浜原発3・4号機の運転差し止め 大津地裁仮処分決定。関電、稼動停止へ(各紙)

2016-03-09 17:22:09

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 各紙の報道によると、関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを滋賀県の住民が求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、住民側の申し立てを認める決定をした。

 

 同原発3号機は原子力規制委員会の新規基準に適合したとして、1月末に再稼動したが、関電は裁判所の決定を受けて、9日中に再停止する。東電福島第一原発事故後に再稼働した原発の運転を停止する仮処分決定は初めて。仮処分決定は、訴訟の判決と異なり直ちに効力が生じる。

 

 裁判所の決定に対して、関電側は保全異議申し立てと仮処分停止の申し立てをする見通し。しかし、その結果が得られるまでには一定の時間がかかるため、同原発は当面停止される。4号機は再稼動直後にトラブルが発生し、原子炉が緊急停止したままになっている。

 

 高浜3、4号機については、昨年4月、福井地裁が再稼働差し止めを命じる仮処分決定を出した。その後、同12月の異議審では、同地裁の別の裁判長が仮処分を取り消した。その時点で、地元同意の手続きが完了していたため、関電は3号機を今年1月29日、4号機を2月26日にそれぞれ再稼働させた。

 

 大津地裁での審尋の争点は、耐震設計で想定する最大の揺れの強さである基準地震動を700ガル(ガルは加速度の単位)とした関電の想定の妥当性や、原子力規制委員会が定めた原発の新規制基準の妥当性など。

 

 また住民側は、関電の事故対応の想定が「安全を担保するには不十分」とし、事故が起きれば、隣接する滋賀県の住民も被曝し、近畿地方の水がめである琵琶湖が汚染されて、広範囲に被害が及ぶと指摘して差止めを求めていた。また規制委の新規制基準も安全レベルは低く、実効性のある避難計画が策定されていないと訴えていた。

 

 住民らは仮処分申請とともに運転停止を求める訴訟を起こしており、同訴訟についても、大津地裁で係争中だ。山本裁判長は3、4号機について、再稼働前の14年11月の仮処分決定でも裁判長を務めており、この際は「再稼働が差し迫っていない」との理由から申し立てを却下していた。

 

 関電は「当社の主張を裁判所に理解いただけず、極めて遺憾で、到底承服できるものではありません。決定に従い、運転中の高浜原発3号機を停止いたしますが、今後、速やかに不服申し立ての手続きを行い、早期に仮処分命令を取り消していただくよう、安全性の主張・立証に全力を尽くして参ります」とのコメントを発表した。