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福島第一原発の溶融燃料デブリの位置予測 OECD原子力機関が新たな予測システム開発にメド。担当局長が明かす(福島民友)

2016-04-11 12:30:06

OECD2キャプチャ

 

  経済協力開発機構(OECD)傘下の国際組織「OECD原子力機関(NEA)」のウィリアム・マグウッド事務局長が9日、福島民友新聞社のインタビューに応じ、同機関が東京電力福島第1原発の溶け落ちた核燃料(デブリ)の位置を予測する新たなシステムを開発したことを明らかにした。

 

 既に実用段階に入っており、高い精度でデブリの位置や状態が推測できれば、政府と東電が目指す2021(平成33)年のデブリ取り出し実現を後押ししそうだ。

 

William D. Magwood
William D. Magwood

 マグウッド氏は、いわき市で10日に開幕する第1回福島第1廃炉国際フォーラムへの参加のため来日した。

 

 事故直後の原子炉内の温度や水位などを基に燃料集合体の溶融進展を分析する予測システムについて「高い精度で分析できることを確認しており、デブリの状態を予測する作業が進められている」と廃炉作業への貢献に自信をうかがわせた。

 

 予測システムはNEA加盟国の研究者により開発され、第1原発事故直後の原子炉内の状態を分析する研究は一定の成果を上げつつあるとしている。

 

 第1原発では昨年4月、1号機格納容器内の調査で初めてロボットによる炉内の撮影に成功したが、事故から5年が過ぎた今もデブリの位置は特定できていない。NEAの新システムで位置や状況が把握できれば、ロボット投入位置の絞り込みやデブリを取り出す技術開発にも生かされる。

 

 一方、日本の原子力規制委員会の一部の委員が「デブリを取り出さないという選択肢もある」と指摘している点について、マグウッド氏は「デブリ取り出しで放射能汚染が拡大する恐れが分かった場合はあり得る」と可能性を示唆したが「まだ答えを得るまでには至ってない」とし、現状ではデブリの状態把握を優先して進めるべきと強調した。

 

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160410-064859.php