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東電福島第一原発 国費浪費の「凍土壁」 台風の影響で2か所で溶け、穴が開く。建屋内の汚染水流出か(RIEF)

2016-09-02 11:13:47

fukushimatoudoキャプチャ

 

 東京電力は台風10号による大雨の影響で、福島第一原発の汚染水対策で設置した凍土遮水壁が2か所で、溶けたことを明らかにした。凍土壁は東電とゼネコンの鹿島が共同で設置したが、地中を凍らせることができず、効果に疑問が指摘されている。

 

 凍土壁は福島第一原発の原子炉建屋に流入する地下水を減らし、放射能汚染水の発生量を抑えるため、建屋周囲の地中を凍らせた土の壁で遮る対策。国費350億円を投じて建設したが、一部の凍土壁ができず、想定通りの効果をあげていない。http://rief-jp.org/ct4/63913

 

 東電によると、今回、台風7号が接近した8月17日以降、大雨の影響で下流エリアの地下水が増加、4号機の南側と3号機の東側で土中の温度が1℃を超えたという。その後の台風10号による大雨で、水位はさらに上昇。凍土壁の溶融が2か所で起きた模様だ。

 

溶けた凍土壁の一部の降水量と温度変化の推移データ
溶けた凍土壁の一部の降水量と温度変化の推移データ

 

 この凍土壁に生じた穴を通じて、建屋内の汚染地下水が下流に流れ出したとみられる。東電によると、凍土壁下流にある護岸の地下水位は、台風10号が来るまでは地表の35cm下の位置だったが、台風が通過した8月30日は一時、地表の28cm下へ約7cm上昇したという。

 

 台風10号による福島第一原発周辺での降水量は1日で55mmだったので、降水量だけならば地下水の上昇は5.5mmのはず。しかも東電は地下水の増加を防ぐためポンプで740㌧分を汲み上げたとしており、降水量を上回る地下水の水位上昇が起きたことは、穴の開いた凍土壁を通じて、建屋内の汚染水が大量に流出した可能性が高いとみられる。

 

 ただ増加した地下水は地表を超えるほどにはなっておらず、東電では海洋への流出等はないとしている。東電は溶けた凍土壁部分に特殊な薬剤を流し込み、再凍結を促す工事をする。追加工事は、穴の開いた凍土壁の周辺に8mほどの穴を堀り、地中で固まる液体を注入するという。こうした対応を、日本では「ドロナワ的な対応」と呼ぶ。

 

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2016/images2/handouts_160901_04-j.pdf

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2016/images2/handouts_160901_03-j.pdf