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東京電力 福島第二原発の侵入警報音を無断で切る。「伸びた草木に反応多発で」。現場の改善要請を上司が無視。規制委、法令違反で厳重注意処分(各紙)

2016-09-13 16:05:59

fukushimadainiキャプチャ

 原子力規制委員会は12日、東京電力が福島第二原子力発電所で、不審者の侵入を知らせる侵入検知器の警報音を鳴らないようにしていたとして、核物質防護規程の順守義務違反で、同社に対して文書による厳重注意処分を出したと、発表した。

 

 センサーが、人や動く物などを感知して、警報が頻繁に作動して鳴るため煩わしくなり、昨年10月に規制委の検査で発覚するまで、警報音を停止する運用が続いていたという。その結果、不審者が侵入してもわからない状態になっていた。東電は、警報を止める代わりに警備員の追加配置などの措置もしていなかった。

 

 規制委への東電の報告によると、現場では作業員らの多くが第一原発の処理作業に借り出され、人員が不足し、伸び放題の草木等を刈り取る作業が十分にできていなかったという。このため、現場の警備責任者は環境改善を訴えたが、上司が「手続きが必要になる。我慢してくれ」などとして退けていたという。

 

 朝日新聞によると、検知器を操作していた期間は「数年におよぶ」としている。一方、福島民友は、「東電は『昨年9月以前には警報を切っていない』としている」と記載している。実際にどれくらいの期間、警備が手薄になっていたのかは議論を残している。

 

 規制委が検知器の警報音が操作されていたことを発見したのは、昨年10月の検査。核物質防護の検査の際、検査官が敷地境界などにある侵入検知器をチェックした際、センサーが反応しているのに警備室の警報が鳴らないことに気づいたという。反応があった地点の映像を大画面に表示する機能も切られていた。

 

 ただ、規制委が今回、東電の不備を指摘し、法令違反を公表したのは、検査から約1年が立ってから。不備を発覚してから公表までに1年を要したことは、規制委自体も事態の重大性への危機意識が十分でないとの見方もできる。

 

 福島第二原発は現在、福島県から全面廃炉を求められている。操業はしておらず、原子炉内の核燃料の冷却を維持する状態が続いている。