HOME13 原発 |旧ソ連・チェルノブイリ原発事故から32年。現場の責任者は「核燃料除去に500年かかる。遠隔操作での除去は困難」と語る(各紙) |

旧ソ連・チェルノブイリ原発事故から32年。現場の責任者は「核燃料除去に500年かかる。遠隔操作での除去は困難」と語る(各紙)

2018-04-27 10:53:11

Chelnoキャプチャ

 

 26日は、旧ソ連ウクライナで1986年に起きたチェルノブイリ原発4号機の爆発事故から32年となったが、原発の解体、廃炉の立案を行うチェルノブイリ原発の責任者が、現地に残る原発核燃料を除去するまでに、今後500年かかる、と語った。共同通信が報じた。

 

 (写真は、チェルノブイリ原発から北に約50kmのウクライナ北部スラブチチ。事故処理に従事し、その後死亡した作業員の遺影を前に献花する女性=26日未明(共同))

 

共同によると、核燃料除去の見通しを語ったのは、ドミトリー・ステリマフ戦略計画部長(41)。「原発の核燃料除去まで500年以上かける方策が現実的」と述べた。チェルノブイリ原発は2016年11月に、耐用年数100年とされる鋼鉄製のシェルターを国際協力によって設置、ひとまず、放射性物質の飛散のリスクは抑制されている。

 

 しかし、同部長は「シェルターの耐用年数の100年の間に除去するのが最善だが、遠隔操作での除去は技術的に難しく懐疑的だ」と指摘した。500年というのは、核燃料の放射性物質レベルが一定程度低減する期間で、それを待って、その後に除去する考えを示した。日本の東京電力福島第一原発では、ロボットや遠隔操作技術で溶けた核燃料デブリの除去を目指しているが、チェルノブイリの現実は、そうした技術手法への疑問を提起する形でもある。

 

 ステリマフ氏によると、原発解体に向けた第1段階として、シェルター内の電気配線やクレーンの設置、換気システム整備が年内に完了する予定。その後、第2段階として、放射性物質の飛散を封じ込めるため事故直後に急造したコンクリート製の「石棺」や4号機の構造物を撤去する。石棺などはコンクリートの劣化が進んでおり、このままだと2023年ごろに崩落する可能性が高まると試算されている。

 

 それまでにロボットなどを使った遠隔操作で撤去を完了させる計画だという。その後に第3段階として、石棺下部にある原子炉内で溶けた核燃料の除去に取り組むことになる。

 

 26日には、首都キエフなどで事故犠牲者の追悼式典が行われた。チェルノブイリ原発事故では、消火などの事故対策に従事した消防士など数十人が急性放射線障害で死亡、原発周辺の住民、約33万人が移住させられた。がんなどによる死者は国際原子力機関(IAEA)などの推計で約4000人、世界保健機関(WHO)推計で最大9000人となっている。事故の深刻度を示す国際尺度では、東電福島事故と同じ最悪レベルの「レベル7」に認定されている。

http://www.at-s.com/sp/news/article/science/483579.html