HOME13 原発 |東京電力福島第一原発事故による放射性セシウムの東京湾への流れ込み続く。最高濃度1㎡当たり46万ベクレル。セシウム量増加も続く(各紙)。 |

東京電力福島第一原発事故による放射性セシウムの東京湾への流れ込み続く。最高濃度1㎡当たり46万ベクレル。セシウム量増加も続く(各紙)。

2018-06-15 22:07:23

tokyo1キャプチャ

 

  近畿大学の山崎秀夫・元教授らのグループは米科学誌プロスワン(Plos One)に、東京電力福島第1原発事故で放出され、首都圏に降り注いだ放射性物質のセシウムが河川を通じて東京湾奥部に集積し、現在でも汚染が続いているとの長期観測結果を発表した。

 

 調査は2011年8月から2016年7月までの期間をかけ、東京湾の北部地域を中心にした面積400k㎡の海域で、湾内と流れ込む河川の火口周辺等、約90カ所で海底の土壌や泥等を採取し、セシウム濃度などを分析した。

 

 東京電力福島第一原発事故では、半減期が約2年のセシウム134と約30年のセシウム137が広範囲にわたって同時に放出された。両者を合計した放射線の総量は5年で約半分に減ることになるが、今回の調査では、地点によって事故直後よりも高い値が検出された。

 

 たとえば、事故後5年を経過した2016年7月に採取した海底の泥からは最高値1㎡当たり46万ベクレルを検出した。また、東京湾の旧江戸川河口の泥からは、事故後の2011年8月に 2万100ベクレルだった地点が、16年7月には5倍の10万4000ベクレルに増えていた。これは千葉県などに降り注いだ放射性セシウムが河川経由で流れ込み、海底の泥等に蓄積したためとみられる。

 

tokyowanキャプチャ

 

 ただ、今回調査した海底泥は、乾燥させた状態でも1kg当たり最高で350ベクレルにとどまった。山崎氏は「湾内に生息する食用魚のセシウム濃度は国の基準値を下回っており、問題のないレベル」としている。

 

 東電事故で大気中を通じて、江戸川や旧江戸川沿いの集水地帯に降り注いだセシウム量は8.33Tベクレル(8億3300万ベクレル)と推計される。そのうち、1.31Tベクレル(1億3100万ベクレル)がこれまで、河川等を通じて流れ込んで、海底の泥等に蓄積したとみられる。現在の河川を通じた年間の東京湾への流れ込み量は0.25Tベクレル(2500万ベクレル)と推測されている。

 

 山崎氏は「蓄積した放射性物質が人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いが、放射性物質が集まっている場所でのしゅんせつなどによって汚染を拡散させないような注意が必要」としている。

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0193414