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福島事故から約7年強で、「原発の安全性問題なし」を、原子力規制委員会も高等裁判所も強調(各紙)。

2018-07-05 01:48:31

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   東京電力福島第一原発事故から7年強。日本は早くも「福島」を過去とし、原発推進に向かおうとしている。原子力規制委員会は4日、福島原発とともに東日本大震災で被災した茨城県の日本原子力発電東海第二原発について、「安全面でも問題がない」との評価を下した。また名古屋高裁金沢支部は同日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について運転差し止めを認めた一審判決を取り消し、安全性を強調した。

 

 被災原発の再稼働承認は東海第二が初めてとなる。東海第二は、震災で自動停止したが、外部電源を喪失。高さ約5.4mの津波に襲われ、非常用ディーゼル発電機の一部が使えなくなった。だが残りの発電機でかろうじて原子炉を冷却した。同機は事故を起こした東京電力福島第一と同じ沸騰水型。

 

 原電は東海第二の再稼働のため、2014年5月に審査を申請していた。審査書案によると、安全性確保のため、想定される将来の津波の高さを最大17.1mとし、それに耐えられるよう、原発の三方に高さ20mの防潮堤を築くという。また火災対策として、総延長1400kmに及ぶケーブルの4割弱を燃えにくいケーブルへ交換し、それ以外は防火シートなどで覆う。重大事故で原子炉格納容器が破裂するのを防ぐため、内部の蒸気を抜くフィルター付きベント(排気)設備も整備する。

 

 こうした安全対策強化に要する工事費は、当初試算の倍以上の1740億円に膨らむ。原電は資金調達のため、東電と東北電力から支援を受ける、という。こうした資金の回収のためには、今年11月に40年稼働の運転期限が来るが、その後の20年の運転延長が視野に入っている。安全強化工事は21年3月までに完了する予定という。

 

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 規制委員会は4日の定例会合で、東海第二原発の安全対策が、新規制基準に「適合」したことを示す審査書案を了承した。ただ、再稼働のためには、運転延長の可否などを判断するため、残り2つの審査を通過する必要がある。さらに、周辺6六市村の同意が必要で、1自治体でも反対すれば動かせない。

 

 東海第二は半径30km圏内に全国の原発で最多の96万人が住む。この範囲の14市町村には事故に備えた避難計画の策定が義務づけられているが、難航している。

 

「安全性」が高まった?大飯原発3,4号機
「安全性」が高まった?大飯原発3,4号機

 

 一方、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを周辺住民らが求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部は4日、差し止めを認めた一審福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。判決では「2基の危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている」とし、周辺住民らの人格権を侵害する具体的危険性はないとの判断を示した。四方による「安全宣言」である。

 

 今回の名古屋高裁の判決は、東電福島原発事故後に各地で提起された原発の運転差し止め訴訟では初の高裁判決となった。一審では差し止めを認める判決が出ているが、高裁レベルでの判断がまず、運転を容認する判決となったことは、係争中の各地の原発訴訟に影響を及ぼしそうだ。

 

 大飯3、4号機は今年3~5月に相次いで再稼働しており、現在も営業運転中。

 

https://www.asahi.com/topics/word/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%BB%E5%8A%9B.html

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018070401001496.html